弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年7月 7日

直及勝負

社会

(霧山昴)
著者 たつみコータロー 、 出版  清風堂書店

国会議員って、何をしているのかな・・・、そんな疑問に対して真正面から答えてくれる本です。本というより、少し厚みのあるブックレットというべきでしょうか・・・。200頁あまりの薄さで、1000円ほどですから、手頃な感じです。私は電車内で30分で読みました。
著者は大阪市西淀川区に生まれ、高校時代はラグビー部でがんばり、生徒会長もつとめたあと、なんとアメリカに渡り、エマーソン大学で映画づくりを学んだと言います。映画監督を目ざしていたのです。そして、大学を出てからはヨーロッパや東南アジアをバックパックでまわり、大阪に戻ってからは、「生活と健康を守る会」の事務局員としてつとめ、7000件もの生活相談を受けました。たいしたものです。DVや借金相談で東奔西走の日々でした。そして、今では日本共産党の国会議員(参議院)として、森友学園問題、コンビニ問題で大活躍中です。
その国会論戦が本当に分かりやすく紹介されていて、いやあ国民に役立つ国会議員って、こうでなくてはいけないよね、そう思わせる内容になっています。
森友学園の籠池氏夫妻は、安倍首相夫妻に裏切られて、今では反アベの急先鋒になっています。財務省による国有財産の払い下げに関して、安倍首相夫妻への忖度(そんたく)はひどいものがありました。
そして、辞めるはずの安倍首相は今も居すわったままですし、財務省の幹部たちはみな昇進しています。ひどすぎます。国を私物化しているのが許せないと著者は強調していますが、まったく同感です。
著者が国会の内外で追及しているコンビニの不当なロイヤルティーの計算、ノルマ、24時間営業の強制、ぜひぜひ改めてほしいと思います。
金もうけのためなら人間らしい生活を踏みにじっていなんて、時代錯誤の発想でしかありません。何が「働き方改革」ですか・・・。コンビニの働き方改革こそ先決でしょう。
カジノ問題、ブラック企業問題、そしてスナック営業など、現代日本のかかえる大きな問題にズバリ切り込んでいる40歳台の青年政治家の活躍に大きな拍手を送ります。読んで元気の出てくる楽しい本として、一読をおすすめします。
(2019年4月刊。1112円+税)

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