弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年5月 7日

地球一やさしい宇宙の話

宇宙

(霧山昴)
著者 吉田 直紀 、 出版  小学館

久しぶりに宇宙についての本を読みました。たまには、こういう本を読んで気宇壮大な気分に浸るのもいいことですし、必要です。宇宙に関する最新の知見が盛り沢山で、知らなかったことばかりでした。
地球が月に及ぼす力によって、月の内部は現在も温められ続けている。
月の地下には巨大な空洞がある。幅100メートルの空洞が50キロにわたって続いている。これは、かつての火山活動で流れた溶岩がつくった空洞。内部には、氷や水が存在する可能性がある。月は活火山なのかもしれない。
月の誕生には諸説あるが、生まれたばかりの地球に、火星ほどの小天体がぶつかり、地球の一部と小天体の残骸が集まって月が生まれたという説が今は最有力。
月は地球から少しずつ遠ざかっている。毎年、3.8センチという速度で離れていっている。月は潮汐によって地球の自転を遅らせ、自らは地球から離れていっている。
月がいなくなると、月は地球の自転を遅くする働きをしているので、そのタガが外れて地球の自転速度が速まり、1日が8時間になる。すると、月のおかげで安定していた地球の大気は、バランスが崩れて、常に大嵐が吹き荒れる状態になり、生命が存続し続けられるか怪しくなる。
宇宙にも色がある。若いときには青緑色をしていて、年齢を重ねて、138億歳になるとベージュ色になった。
宇宙はいまから138億年前に無から生まれた。宇宙は、広がりのない一点、つまり何もないところから生まれた。
GPSは、相対性理論にもとづいている。物体の速度や重力によって、時間の進み方が変わるという理論にもとづいて、GPS衛星の時計を調整し、位置情報を正しく保っている。
宇宙が始まったころ、まだ星のない「暗黒時代」があった。このころは水素やヘリウムの「ガス」と「ダークマター」が薄く漂い、ビッグバンの名残である「弱い電磁波」が飛び交うだけだった。そして、ガスは一様に広がっていたのではなく、少しだけ濃い部分も薄い部分もあった。濃いガス雲は、やがて薄い円盤をつくり、回転しながらさらに中心に集まる。中心部は高温・高密度になり、やがて赤外線を放出しはじめる。小さな小さな星の赤ちゃん「原始星」が誕生した。この原始星の質量は、太陽の100分の1、中心の温度は1万度をこえ、密度は1立方センチあたり、0.001グラムほど、水と空気の中間くらい。ぷよぷよしている感じ。
太陽質量の100分の1ほどだった原始星は、太陽の20倍ほどの重さになったとき、核融合反応を始めて、太陽の10万倍もの明るさで輝きはじめた。
「ファーストスター」をコンピューター・シュミレーションでつくってみたというのです。すごいです。とても面白い本でした。
(2018年12月刊。1300円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー