弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年2月 9日

世界史を変えた新素材

社会

(霧山昴)
著者 佐藤 健太郎 、 出版  新潮選書

ゴールド。金。現在までに採掘された金の量は、世界中すべてあわせても、オリンピックプール3杯分ほどでしかない。
そんなバカなと私も思いましたが、金は水の20倍ほど重たいので、重量の割には嵩(かさ)が非常に小さいことにもよる。
1台のスマートフォンには、平均で30ミリグラムの金が使われている。2000億円分の金が世界中のスマートフォン14億6000万台、世界中の人々のポケットにおさまっている。
コラーゲンは、人間の身体にたくさん含まれるたんぱく質の一種。コラーゲンは、細胞と細胞の隙間(すきま)を埋め、互いに貼りあわせる役割をもつ。
人間の身体を支え、形を保たせているのは、コラーゲンのおかげ。人体のタンパク質の3分の1はコラーゲン。
日本語では、コラーゲンのことを膠原(こうげん)と呼ぶ。
外科手術のとき、コラーゲンでつくった糸で傷を縫えば、やがて糸はゆっくりと分解吸収されるため、抜糸する必要がない。
クモの糸は、防弾チョッキに用いられるケプラー繊維の3部だった。
クモの糸の実用化は進まなかった。それは、カイコとちがって、一匹のクモが少なかったこととあわせて、一匹のクモがつくる糸の量が少ないこと、下手するとクモは、共喰いを始めてしまうから。
大変興味深い話が満載の面白い本でした。
(2018年12月刊。1300円+税)

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