弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年8月29日

司法試験トップ合格者の勉強法と体験記

司法


(霧山昴)
著者 大島 眞一 、 出版  新日本法規

司法試験について、かつての試験よりも現行試験のほうが良いと評価されていますが、これって一般的に定着した評価なのでしょうか・・・、誰か教えてください。
旧司法試験は、問題文や時間が短く、出題された問題によって合格者が大きく変わってくると言われていた。実力不足の者でも、狙っていた問題が出ると、詰め込んだ知識で高得点をたたき出し、合格することがあった。逆に、実力をもっていても合格できなかった者が多数いた。
これに対して、現行司法試験のほうは合格すべき者が合格している。自分の頭で考えることを体現する試験になっていて、旧司法試験に比べると相当な(ふさわしい)試験である。
私は40年以上も前の自分の受験体験記を最近『小説・司法試験』(花伝社)として発刊したばかりです。その本では、受験勉強のすすめ方だけでなく、短答式、論文式そして口述試験のそれぞれについても、前日そして当日の過ごし方の実際を紹介していて、おかげさまで大変参考になったという感想をもらっています(自画自賛です)。
司法試験トップの人は、予備校に通わずに講義と基本書を中心とした勉強をしていたそうです。私のときには、そもそも司法試験予備校なんてまだありませんので、講義と自主ゼミと基本書でいくしかありませんでした。
基本書を読むと、一つの立場から一貫して法律を勉強することができるというメリットがある。今は、「採点実感」なるものが公表されているようですね。知りませんでした。確かに傾向と対策を知り、自分の答案を振り返るのは役に立つことでしょう。ただ、私は、論文式試験問題については過去問をみて答案を書いた覚えがありません。自主ゼミこそ参加していましたが、そんな答案を書いても、誰にもみてもらえなかったからです。たとえば真法会の答案練習会(答練)に参加したこともありません。
ナンバーワンの人は、原理・原則や条文から考えていることを答案で示すようにしたと言いますが、私も、実践できたかはともかくとして、気持ちとしては同じことを考えていました。
この本には、私と同じように論文式試験の過去問を解くことへの疑問も呈示されていて、私は強く同感でした。要するに、論文式の過去問を解いて相互検討すると、一問につき6時間も7時間もかけることになるが、消化した時間に見あったものが得られる保障はない、ということです。まったく同感です。
私は、その代わりに手紙をたくさん書いたりして、自分の考えたことや気持ちを文章でうまく言いあらわす練習を心がけました。
論点について、基礎・基本についての正確な知識でもって、分かりやすい日本語を書いたらいいという指摘があり、私もまったく同感です。
首尾一貫しない日本語、何を言いたいのか分からない日本語では困ります。もちろん、法律用語の基礎をふまえた文章でなければいけませんが・・・。
答案を書く前に、時間をとって答案構成をしっかり考える。答案は4枚から6枚程度にし、7枚も8枚も書く必要はない。逆に途中答案にならないよう、時間配分を考えて書きすすめる。
私の『小説・司法試験』でも、論文式試験での答案構成そして答案の書き方の実際を再現しています。何事も口で言うほど簡単ではありませんが、論文式試験の臨み方、その心得は考えておいてほしいと思います。
受験生に実務的に役立つ本として、私の本とあわせて一読をおすすめします。
(2018年7月刊。1800円+税)

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