弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年5月19日

穢れ舌

社会


(霧山昴)
著者 原 宏一 、 出版  角川書店

面白いです。前に『星をつける女』(KADOKAWA)を読みましたが、同じシリーズのような本です。
料理研究家やレストランのインチキ、さらには産地偽装のカラクリまでを暴いていく過程は、手に汗を握るハラハラドキドキ感もあり、なるほど、この分野ではこんなことが起きているのかという知的好奇心もたっぷり満たしてくれます。
料理研究会と銘うっている女性は、実は黒幕に踊らされているだけの存在でしかありません。へとへとになるまで働かされます。そして産地農家と提携というのもインチキ。その場しのぎの契約でしかありません。
どうやって、そのインチキを暴くのか・・・。
日本酒の特定銘柄がネットでプレミアムつきで転々売買されている。しかし、その日本酒は実は桶買いでしかない。そんなに高値の日本酒がつくれるわけがない。また、どうやって秘密を守り通せるか・・・。
ネットで一般客をだますのは、いとも簡単のようです。サクラをたくさんつくって、さも人気商品であるかのように装ったらいいのです。
寿司店。銀座の高級寿司に私も一度は行ってみたいです。アベ首相やオバマ大統領の行った店でなくてもいいのですが・・・。
いいネタをどうやって安く仕入れるか、店の主人は苦労しています。そこで、大胆なインチキをする店のも出てくるというわけです。
『神田鶴八鮨ばなし』などを参考にしたというだけあって、料理場面はノドから手が出るほど、美味しそうです。
(2018年3月刊。1500円+税)

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