弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年4月10日

朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか

朝鮮

(霧山昴)
著者 五味 洋治 、 出版  創元社

北朝鮮の最新のミサイル発射台は、タイヤのついた可動式なので、発射地点を衛星から特定するのは非常に困難。また、固形式燃料を使えば、発射準備から発射するまで30分しかかからない。北朝鮮から発射されたミサイルが日本に着弾するまで8分ほどでしかない。
ですから、イージスアショアに2000億円もかける意味なんてないのです。そして、日本には全国50ケ所以上に原発(原子力発電所)がありますので、戦争になったら、日本列島に住むところはありません。なので、朝鮮半島で戦争を起こさせないようにすることこそ最優先の課題だということは、はっきりしています。そのため、米朝協議は必要です。
1950年に始まった朝鮮戦争は、1953年に「休戦」になっただけで、法的には今なお戦争継続状態にある。そして、「国連軍司令部」はいまも韓国にあり、東京の横田基地には国連軍後方司令部が置かれ、日本国内の7つのアメリカ軍基地は後方基地として指定されている。
平時の作戦指揮権は韓国軍に返還されているが、戦時の作戦指揮権はアメリカ軍が依然としてもっている。
朝鮮戦争の直後に7万人いたアメリカ軍は、今は2万8000人まで減っている。2万人の陸軍と、8000人の空軍である。朝鮮の国連軍は、朝鮮半島で戦争が起きたときは、日本国内のアメリカ軍基地を自由に使う権利をもっている。
朝鮮国連軍の指揮権はアメリカ軍司令官が握っていて、国連の安保理の許可を得ることなく、自由に軍事行動できる。
アメリカは、北朝鮮と中国に対抗するため、アメリカ軍司令官の指揮のもとで機能する「日本韓の軍事協力体制」を強化したいのだ。
朝鮮戦争で大量の中国義勇軍が参戦してアメリカ軍が劣勢になったとき、それを押し直すためにマッカーサーは、原爆26発さらに追加して8発の使用をアメリカ政府に求めました。マッカーサーの考えはこうです。朝鮮戦争を10日で終らせるため、満州に30~50発の原爆を投下し、強烈な放射線を出す「コバルト60」のベルト(地帯)をつくる。それで60年間は中国から陸路で北朝鮮に侵入することはできなくなる。
 いやはや、マッカーサーって、とんでもないことを言い出す将軍でした。トルーマン大統領が怒って(心配して)マッカーサーを解任して、本当に良かったですね。
安倍首相のように、朝鮮半島の危機をあおるだけであってはいけません。
「米朝対話」が少しでも進展するように日本政府も努力すべきです。
(2017年12月刊。1500円+税)

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