弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年1月21日

信長研究の最前線(2)

日本史(戦国)


(霧山昴)
著者  渡辺 大門 、 出版  洋泉社歴史新書

 信長は、朝廷の外護者(げごしゃ)たる存在だった。外護者としての織田信長、政治・秩序の保障者としての朝廷。両者は、相互に補完しあって、国家の上部構造に位置づけられていた。
 イエズス会の宣教師たちは、安土築城のころから、信長について中央を治める権力者であると認識するようになっていた。
織田信長がイエズス会を厚遇したのは、彼らが自分に敵対することなく、従順な姿勢をもっていたから。
イエズス会は、信長に黒人を献上していたが、その黒人は本能寺の変で明智方と戦った。そのことから、宣教師は光秀の報復を恐れた。しかし、光秀はイエズス会を敵視することはなく、黒人はイエズス会に返されたので、宣教師たちは安心した。
イエズス会は、本能寺の変のとき、都でも安土でも非常に動揺していることから、本能寺の変を事前に予知していたとは思われない。
 織田信長については、まだまだ研究し尽くされていないところがあると思ったことでした。
(2017年8月刊。980円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー