弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年1月 9日

ぼくは13歳、任務は自爆テロ

アフリカ

著者 永井 陽右、 出版  合同出版

今どきの若者は、、、たいしたものです。心から応援したくなります。
大学生のころから、アフリカに渡ってテロのない世界を目ざして活動してきたというのです。信じられないほどすごいです。若い男女学生たちがアフリカ現地に出かけてがんばっているのを知ると、日本の若者もまだまだ捨てたものじゃないなと安心してしまいます。
若者に安定志向が強く、自民党の支持率が40%というのを知って、がっかりした矢先にこの本を読んで、大いに救われた気がしました。やはり、何かのきっかけがあれば、若者も必ず立ち上がるのです。私たち団塊世代(今ではみんな70歳前後です)も、学生のころ(20歳前後でした)には、いろんなきっかけから目覚めて、世の中を大いに動かしたのです。これは全共闘の暴力的な街頭行動を意味していませんので、誤解ないようにお願いします。
著者はソマリアに赴きます。ソマリアでは、この20数年間に180万人をこえる難民が生まれ、国民の半数以上が緊急人道援助の必要があるとされている。2012年にソマリアにも正式な政府が誕生したが、内戦は今でも形を変えて続いている。「国境なき医師団」もソマリアは危険すぎるという理由で撤退してしまった。
政府による公共サービスは皆無に近く、政府内では汚職がはびこり、年間700億円にのぼる国連その他からの援助は、必要な人々の手に渡らずにどこかに消えてしまっている。
ソマリアで活動しているアル・シャバブはよく訓練されていて、アフリカではもっともしたたかなテロ組織とされている。このアル・シャバブは、アルカイダに忠誠を誓っている。
著者はソマリアの隣国ケニアの首都ナイロビにあるソマリア人の大勢すむ地区で、ギャング国に入った若者の救援活動もしています。
ソマリアの激しい内戦のため故郷から離れざるをえず、移住してきたケニアの地でも暮らしがきびしく、差別や孤独にさいなまれ、警察の取り締まりを恐れながら生きている。彼らはどうにか生きるためにはギャングになるしかないと考えた。いったんギャングに入ると抜け出すのは大変困難、組織からの復讐もあるし、世間は元ギャングを受け入れようとしない。孤独から逃れるためにギャングになったのに、ギャングになったらさらに孤立してしまう。ギャングを捕まえて刑務所に入れても、刑務所の中で犯罪者がさらに過激化していくことが少なくない。
しかし、元ギャングを排除するのではなく、受け入れ、寄り添う。その孤独や恐怖、世界への怒りを軽減させることが大切。
アル・シャバーブは、盛んに子どもたちを勧誘し、子ども兵として使役している。とくに10歳くらいの子どもに目をつけて、自爆テロ要員にしている。うひゃあ、恐ろしい、悲しいことですね。
地道な活動を粘り強くすすめている若い人たちに心からの声援を送ります。
(2017年8月刊。1400円+税)

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