弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年8月 2日

日本国憲法の核心

司法

(霧山昴)
著者 法学館憲法研究所 、 出版  日本評論社

東京都議会議員選挙での自民党惨敗で、安倍首相は改憲策動を断念するかと期待しましたが、甘かったようです。予定どおり改憲スケジュールをすすめると強気の発言です。その反省のなさには呆れるばかりです。
この本で伊藤真弁護士は一票の格差の本質的問題点を鋭くついています。日本では、一人一票が実現していないのです。ある人は一人一票でも、別の人は、0.48票しか認められていません。これでは、日本を民主主義の国とは呼べません。最高裁ですら現行制度を合憲とは言わず、違憲状態にあるとしました。
私は、日本で一人一票制度がないがしろにされているのと同じように、戸別訪問禁止、小選挙区制というのも日本の政治を間違わせている根源だと考えています。いまの「アベー強政治」というのは、小選挙区制度による弊害の典型ではないでしょうか。せめて、以前の中選挙区制度(1区で複数の議員が当選する)に戻すべきだと考えます。
そして、日本と世界の平和を保持するには、武力にたよらない政治を国の内外ですすめていくべきです。そんなことを言うと、すぐに空想的理想主義で、机上の空論だと批判したり、笑ってバカにする人がいます。でも、世界最強の軍隊をもつアメリカが世界の平和を保持していると言えますか・・・。
実際には、戦争とテロを世界にもたらしているだけではありませんか・・・。
8人の憲法学者が貴重な論稿を寄せているブックレットです。
(2017年5月刊。1700円+税)

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