弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年7月28日

凛とした小国

キューバ

(霧山昴)
著者 伊藤 千尋 、 出版  新日本出版社

コスタリカ、キューバ、ウズベキスタン、ミャンマーの良さは日本も大いに学ぶべきだと思いました。とりわけ世界有数の自然環境保全国でもあるコスタリカの話は感動的です。心が揺さぶられます。
コスタリカは、「世界で一番、幸福な国」で1番にあげられている。日本は、51位でしかない。コスタリカは、1949年、日本に次いで世界で2番目に平和憲法をもった。日本と違うのは、本当に軍隊をなくしてしまったことです。それまで、軍事費が国の予算の3割を占めていたのを、そっくり教育費に充てました。教育も医療も無料。兵舎(参謀本部)は博物館になりました。軍艦も、戦闘機も戦車ももっていない。警察と国境警備隊はある。ただし、いざとなれば、自衛のための軍隊は結成できることになっている。
コスタリカは、周囲の国で内戦が続いたけれど、幸い平和な国であり続けた。「自分たちにとってもっとも良い防衛手段は、防衛手段をもたないこと」
私は、まさしく本当だと思います。決して「平和ボケ」のコトバではありません。
コスタリカでは、大統領選挙があると、小中学校はもちろん、幼稚園児も模擬投票する。
コスタリカでは、小学校に入ると、子どもたちは、「だれもが愛される権利をもっている。この
国に生まれた以上、あなたは政府や社会から愛される」と教えられるそうです。
日本でも道徳教育のときに、これを教えたらいいと私は思います。
そして、コスタリカでは憲法訴訟が1年間に2万件近く提起され、最終的に2割近くが違憲
だと判断されるといいます。これはともかくすごいことです。
 コスタリカは周辺国からの難民もすべて受け入れており、400万人だった人口が500万人になったそうです。信じられない数字です。
 コスタリカの人々は、幸せな社会を自分たちでつくりあげているという意識にみちているようです。すばらしいです。
 先日の国連における非核平和条約を制定する議会でもコスタリカの女性が委員長として大活躍していましたよね。日本も平和憲法、9条をさらに実現する運動が必要だと思います。
 ほかのキューバ、ウズベキスタン、ミャンマーについては、ぜひ、本書を読んでみて下さい。読んで決して損はしない本です。
(2017年5月刊。1600円+税)

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