弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年5月20日

写真家ナダール

世界(フランス)

(霧山昴)
著者 小倉 孝誠 、 出版  中央公論新社

この本で、アレクサンドル・デュマ、ヴィクトル・マゴー、ジョルジュ・サンドなどのくっきりした肖像写真に接し、彼らの人柄を初めて具体的にイメージすることができました。
詩集『悪の華』で有名な詩人ボート・レールが、「ナダールは生命力のもっとも驚くべき表現である」と高く評価したという写真家ナダールを紹介した本です。豊富な写真のあるのがうれしい限りです。
ナダールは1820年に生まれ、第一次世界大戦の始まる前の1910年に亡くなっていますので、19世紀フランスに生きた人だと言えます。
ナダールはボヘミアン的作家、ジャーナリスト、風刺画家、そして写真家であり、気球冒険家でした。1857年に初めて気球に乗ったナダールは気球から地上の写真も撮っています。そして、写真家としては、パリの地下水路やカタコンベ(地下墓地)まで撮影しているのです。
アレクサンドル・デュマは『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』で名高い作家ですが、その肖像写真は、「根拠ある自信にあふれた表情」というキャプションがついています。なるほど、今にも何か話しかけてきそうな顔写真です。
シャルル・ボードレールはナダールの親しい友だちでしたが、何かもの言いたげな表情をしています。
パリ・コミューンを圧殺した政治家であるティエールは、権力欲に取りつかれた野心たっぷりの表情です。そのほか、エミール・ゾラ、ギ・ド・モーパッサン、オーギュスト・ロダン、クロード・モネなど、当時のフランスを代表する著名人の顔写真がたくさん紹介されていて飽かせません。
(2016年9月刊。2600円+税)

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