弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年5月 3日

ダブルマリッジ

社会

(霧山昴)
著者 橘 玲 、 出版  文芸春秋

私は、これまでフィリピン人、韓国人との離婚事件の裁判を担当したことがあります。もちろん、日本の裁判所です。ちなみに、相続登記の関係ではアメリカ、ブラジルそしてスウェーデンの人が登場してきました。スウェーデンの件では在日大使館にお世話になり、時間はかかりましたが、なんとか解決しました。アメリカやブラジルについては、現地にある日本の大使館とか領事館に協力をお願いしました。ともかく、なにかと手間と時間がかかります。
フィリピン人女性との離婚裁判では、訴状の送達が大変でした。訴状が届いたという証明書がないと裁判は始まりませんが、それがなかなか得られないのです。ぐずぐずしているうちに、相手方の女性が日本に再びやってきて、居場所が判明したので、ようやく裁判が進行しました。そのとき、相手のフィリピン女性が、「戸籍なんか、お金を出したら簡単にいくらでもつくれるのに・・・」と言ったので、腰を抜かしそうになりました。ちょうど、フィリピンでの自動車運転免許証が国際免許証として日本で通用するかどうかが問題になっていたころの話です。そうなのか、フィリピンでは運転免許証も戸籍もお金を出せば買えるものなのか・・・。私はカルチャーショックを受けました。今のフィリピンがどうなっているのかは知りません・・・。
この本は、フィリピンに駐在していたとき、日本の若い会社員が現地のフィリピン女性に子どもを産ませて認知したあとの話として展開していきます。ありそうな話ですよね・・・。
フィリピンには、日本人の父親をもつ子どもが3万人はいる。これは日本国籍をもつ人をふくめると20万人は下らない。
2004年がピークだったが、8万人のフィリピン人女性が興行ビザで日本に入国した。
私が20年も前にフィリピンのレイテ島へODAの現地視察に行ったとき、辺ぴな田舎の村の広場に、日本製の大型ラジカセで音楽を聴いている若者がいたのを目撃しました。
遠くて近いフィリピンとの関わりを戸籍を通して描いた小説です。
(2017年1月刊。1500円+税)

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