弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年12月 4日

驚くべき日本語

社会

(霧山昴)
著者 ロジャー・パルバース 、 出版  集英社

日本語って、ガイジンさんには難しいと思っていますが、実は話し言葉としては、世界でも易しいほうなのだそうです。難しいのは漢字のまじっている読み書きなのです。
日本人は、日本語があいまいな言語だと信じ込んでいる。しかし、日本語は明らかにあいまいではない。日本語には秘密もなければ、不可解さも、暗号のようなところもない。
話し言葉としての日本語は、学ぶにはもっとも平易な言語の一つである。
言語は、結局、戦いの基本的な道具である。
言語は「同じ人種でくくられた集団」という意識をつくり上げる武器である。「他者」をたしかな方法で識別して自分たちの集団から疎外することに加担する。自分がどの民族に属するかを決定するのは、言語なのである。
第一言語を話す能力と外国語のそれとは、それぞれ脳の違う部分に刷り込まれる。
第一言語の音の響きだけが、ものごとのイメージと結びつく。
言語は私たちに民族的なアイデンティティを与えるもの。国家にとって、言語はきわめて大切な道具であり、一方で目に見えない武器なのである。民族を一つにまとめるのに、まさに言葉ほど力をもつものはない。言語はまた、悪しき目的のために強制的に使われることもある。
多くの人は、自分の頭を白紙状態にできないでいる。これは、それ以上、他の言語を学ぶことができない状態でいるということ。他言語を学びたいと思うなら、その独自の秩序を学ぶためには、すでに頭のなかにセットされている第一言語の統語の体系をまず消し去る必要がある。自分の第一言語の論理を消し去れば、だれでも日本語の修得は可能である。
日本語のきわだって特徴的で重要なポイントは、日本語の表現力は異なる言葉によって生み出されるのではなく、同じコトバの語尾変化によって生まれるということにある。
動詞と連結させて縦横無尽に表現をつむぎ出せる擬態語という道具があれば、もともとの語彙の数が多くなくても、さまざまな行動や感情を表現することが可能になる。
日本の国際化は、英語で始まるのではない。日本語で始まる。
日本語の音の響きの美しさは、書き言葉とのすばらしい連携から生まれる。
1944年にアメリカで生まれ、日本には1967年以来、50年も生活していますので、もちろん日本語はぺらぺらです。いえ、ロシア語も、ポーランド語もできます。すごい人ですね。
私も、フランス語をもっと気楽に自由に話せるようになりたいです。
それにしても、世界のなかの日本語の位置づけを考え直しました。
(2014年8月刊。1000円+税)

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