弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年8月 1日

カラスの補習授業

生物(鳥)

(霧山昴)
著者  松原 始 、 出版  雷鳥社

 ゴミ出しは、カラスとの知恵比べです。我が家のゴミには生ごみが入っていませんので、あまりカラスが狙わないはずなのですが、ゴミ袋をつついて内容物を散乱させられたことは数知れません。ネットをかぶせ、ブロックの重しをしていてもダメなことがあります。弱点を巧妙に攻めあげるのです。
朝早くからカラスがカーカーと鳴くと胸騒ぎがしてしまいます。連中がきっとよからぬことを企てているに違いないからです。カラスの集団にやられてしまったら、もうどうしようもありません。ヒヨドリ軍団なんてものではありません。被害のレベルが違います。
この本は400頁近くありますが、前の本に続いてカラスの生態に迫っています。
カラスは南米とニュージーランドにはいない。なぜ、なんでしょうね・・・。
カラフルなカラスはいない。全世界のカラスは白黒か灰色というツートンカラーのみ。日本には、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種のみいる。
東京都心のビルが建て込んだ場所にいるのはハシブトガラスだけ。ハシブトは、森林か市街地に住む。ハシボソは田畑や河川敷が大好き。
ハシブトガラスは基本的に地面が嫌いで、あまり降りてこない。カラスが人間を「攻撃」するのは、ヒナの巣立ちの時期。
カラスの集団は若い個体の集まり。カラスのペアは、よほどのことがなければ、ずっと続く。
カラスの寿命は野性でも20年。飼育下では40年も生きたハシボソガラスがいる。
鳥に食べさせてはいけないのがチョコレート。チョコレートに含まれるテオプロミンは鳥にとって毒となる。またアルコールもダメ。
カラスは大型の毛虫を食べる。また、毒をもつヒキガエルも食べる。ヒキガエルの腹側をつついて食べる。毒のある皮だけを残して、きれいに食べているという証拠を残す。
すべての鳥が鼻を利かせることができないというのは間違い。
カラスをふくむ多くの鳥のエサ探知は、視覚に頼っている。鳥の目は良い。高速で動くものを捉える能力だ。
朝、カラスが行動を始めるのは、夜明けの時間ほど・・・。
鳥は耳のいい動物だ。鳥の耳の感度は高い。これは高密度で生えた感覚毛のせいだ。
カラスについて、さらに知りたいと思っている人には最高のプレゼントになる本です。
(2015年12月刊。1600円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー