弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年5月21日

灘・東大理Ⅲの3兄弟の母が教える中学受験

社会


(霧山昴)
著者  佐藤 亮子 、 出版  カドカワ

 私自身も、私の三人の子にも「中学お受験」なんて考えたことはありません。
 この本を読むと、楽しく勉強して子どもが伸びていく、そして勉強は楽しいと思える接し方があるんだなと実感させられます。著者をけなすネット社会での声もあるようですが、それは著者の本をきちんと読んでいないからではないのかなと、私は考えています。
 子どもと一緒に楽しい勉強を続ける秘訣が満載なので、読んで損をすることはありません。なにも著者のやったこと、言っていることを全部が全部、実践することはありません。自分でもやれそうだな、そう思ったところをやればいいんじゃないでしょうか・・・。
 受験は、ラクに楽しく、そして絶対に合格のがポイント。なるほど、なーるほど、そうですよね・・・。
 子どもたちの受験勉強の世界には一切登場しないパパは優しい性格です。私も同じ弁護士として、よく知っていますが、パパが中途半端に関わらないで、ママ(妻)をバックアップするのに徹したことが良かったのだと思いました。
 私も小学4年生から近所の塾に通いましたが、何のための塾なのか、よく分からないまま、続けました。著者の長男も同じです。著者は、初めにこう言いました。
 「うちは中学受験は考えていないから、いやだったら、すぐにやめていいわよ」
 ところが、長男は、塾からニコニコ顔で帰ってきたのです。「楽しい、楽しい。算数の問題が面白い」と言って・・・。私も小学生の算数のツルカメ算などを学び、それなりに面白いと思いましたが、塾はそれほどの刺激はありませんでした。
著者は、10年間にわたって、中学受験生の母の生活を続けたのです。偉いですね、タフですね。なにしろ、一日の睡眠時間が3~4時間というのでも、倒れることなく続けたのですから・・・。
 人間の価値は、その人の地位や職業とは関係ないと考えて生きてきた。ただ、その子のもっている能力を最大限に生かしてあげるように育てたいと考えた。
社会人としていい仕事をするには、基礎知識や思考力が不可欠だ。
 ちょっとずつ成績を上げていく戦法。惜しくも間違った問題を正解することで、ちょっと点をあげるようにする。
 子どもにとって、本当に頼れる道連れになるためには、点数が悪いときこそ、寄り添ってしっかり手をぎゅっと握ってやる。
他の子と比較するのではなく、我が子のできない部分を見直して、子どものレベルを上げるしかない。我が子のことだけを考えればいい・・・。
きれいすぎるノートは、ムダ。受験は効率が一番。
 元英語教師の著者は、早期の英語教育には意味がないという考えです。私も同感です。大事なのは英語力より国語力。論理展開する力を身につけること。この点は、私もまったく同じ意見です。英語はダメ、フランス語が少しばかり(フランスで旅行するのが、なんとかなる程度)話せる私ですが、なんといっても論理的展開力こそ必要なものだと痛感しています。
 今回も後輩の佐藤弁護士に贈呈(実は、強要しました)を受けて一読しました。あなたの子育てに役立つヒント満載の本として、おすすめします。
(2016年3月刊。1300円+税)

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