弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年12月27日

朝鮮・東学農民戦争を知ってますか?

朝鮮

(霧山昴)
著者  宋 基淑 、 出版  梨の木舎

  日清戦争が始まったのは1894年。その年に、朝鮮半島で、農民が立ちあがりました。
  はじめ、敵は中国でも日本でもなく、朝鮮王朝の横暴な政治への抗議行動でした。
  1000人で始まった農民軍の戦いは、次第に増えていき、ついには、何万人、何十万人へとふくれ上がっていきます。朝鮮王朝の政府軍に対しては、農楽隊が景気づけをしながら、鶏かご作戦など、知恵と工夫で連戦連勝していきます。
  ところが、中国軍が登場し、さらには、日本軍が出てくると、農民軍は竹槍主体でしかなく、武器・弾薬がたちまち欠乏して、日本軍の近代兵器の前には、なす術もなく敗退していきます。日本軍は戦上手なうえに冷酷無比。農民軍を圧倒し、虐殺の限りを尽くすのです。
  日本人として、日本が朝鮮半島を植民地化していく過程をきちんと認識しておく必要があると痛感しました。
  この本には、初めにマンガで少し背景の説明があります。それで、イメージをもって本文にとりかかれます。本文は、子ども向けのように分りやすい文章で、農民軍のたたかいの苦労がよくよくしのばれます。
この本の最後に訳者あとがきのなかで、1995年に北海道大学の研究室で発見された「東学党首魁」の頭骨のことが紹介されています。日本にとっては単なる反乱軍のリーダーだったのでしょうが、朝鮮・韓国の人々からすれば、まさしく英雄です。遺骨を韓国へ無事に送り返すことができたのは大変すばらしいことだと思います。
  このあと、朝鮮では、日本の植民地支配に抗して1919年3月1日に3,1独立運動が起きます。民族の独立と自由ほど尊いものはないのです。
  この本は、そこに至る朝鮮の人々の姿を生き生きと描いています。
  
(2015年8月刊。2800円+税)

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