弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年7月 3日

戦場

社会

                               (霧山昴)
著者  亀山 亮 、 出版  晶文社

 まだ30代の戦場カメラマンの撮った、危ない写真が盛りだくさんの写真集です。
 本当に勇気ある若者です(今や、でした・・・)。私の子どもが戦場カメラマンになりたいと言ったら、もちろん反対します。幸いにして、そんなことは言いませんでした。
 各地の戦争の実相を知りたいと思いますが、それを自分の子が死の危険を冒してまで戦場に出かけて撮ってくるなんて、ぞぞっとします。
 著者の行動力には脱帽です。とてもマネできません。著者は、なんと高校生のうちから三里塚の農家に泊まり込んで撮影していました。そして、専門学校に入り、そこからメキシコに渡るのです。
 中南米の紛争地帯に5年間もいました。まだ、20歳前後のことです。いやはや・・・。
 雑誌が写真を求めるのは、ネタとしての商品価値で、クオリティは二の次。
 要するに、自分が必死の思いで撮った写真が売れないし、それでは生活できないのです。
 そして、パレスチナに渡って取材中に、イスラエル国境警備隊のうったゴム弾によって左目を失明してしまうのでした。
 日本のメディアは、なんの保障もせずにフリーランスをイラクに行かせ、問題が起きると、即、切り捨てる。そうなんですよね。NHKが、その典型でしょう。
 アフリカの少年兵、そして精神病院に収容された人々の話と写真は、悲惨としか言いようがありません。それでも目をそむけてはいけないと思い、写真をじっと見つめていきました。
 本当に世界は戦争だらけなのです。そこへ、自民・公明の安倍政権は日本の自衛隊を送り込もうとしているのですから、大変なことです。戦争が隣り合わせになる社会にならないように、今、大きな声を一人ひとりが上げるべきではないでしょうか・・・。
 それにしても、もうあまり無茶はせず、元気でお過ごしくださいね。
(2015年2月刊。1800円+税)

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