弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年3月30日

社会脳からみた認知症


著者  伊古田 俊夫 、 出版  講談社ブルーバックス

 認知症とは、正常に成人になった人が、病気や事故などのために知的能力が低下し、社会生活に支障を来すようになった状態を指す。
64歳以下で発症した認知症を若年性認知症と呼ぶ。その多くは、40~50代で発症する。若年性認知症の患者は全認知症の1%を占める。40~50代で物忘れに深刻に悩む人は、高齢期に認知症になる確率が高い。
 若年性認知症は、症状の進行が早いという特徴がある。異常タンパクの生成が早いためだと考えられる。若年性認知症は周囲の人の気持ちを理解できない。他人への関心が薄くなる。性格の変化が目立つのも特徴。
 日本の認知症患者は460万人をこえ、その予備軍が400万人いる。
 認知症の人には、「配慮を受けている」という自覚が乏しく、同僚に感謝の気持ちを伝えられない。
 認知症の人に最初にあらわれるのは、新しいことを記憶できないこと。そして、物忘れしているという自覚が薄れてくる。
 日課や予定、約束や期限といった緊張感が失われると、人間の記憶力は低下していく。
 認知症の第二の重要な症状は、自分の置かれた状況が分からなくなること。さらに症状がすすむと、自分が病気であることを理解できなくなる。
 人の心の働きのなかで、もっとも重要なのは、他者の心や気持ちを理解するというもので、これは人間特有の働きである。
 認知症の人は、詐欺的商法の相手と長時間にわたって一緒に過ごし、すっかり信用しきってしまう。警戒心がまったくない。
 認知症に陥った人たちからは、苦悩が確実に減少していく。悩まなくなるのだ。
 うつ病が増加している。うつ病にかかった人は、羅患歴のない人に比べて、認知症になる危険性が2~3倍も高い。
 私の同級生も認知症になった人がいます。とても生真面目な性格でした。それと関係があるのでは、と思っています・・・。
(2014年11月刊。900円+税)

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