弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年3月27日

「カジノで地域経済再生」の幻想

社会


著者  桜田 照雄 、 出版  自治体研究社

 カジノに頼る経済なんて、そもそも発想が間違っています。
 そして、この本は、カジノに頼って地域経済が再生するなんて、嘘っぱちだと実証しています。アベとかハシモトのインチキ宣伝に乗せられてはいけません。
 「IR型カジノ」の基本的な考え方は、エンターテインメントやショッピングなど、魅力ある「楽しみ」を提供する施設を組み合わせた複合施設を集めることで、観光客の大幅な増加を図ろうとしているもの。そのなかで、カジノ施設が、今までにない「楽しみ」を人々に提供する集客施設として位置づけられている。
 コンベンションを誘致する「切り札」としてカジノが考えられている。
 九州では、カジノに頼ることを北九州、佐世保(ハウステンボス)、別府、宮崎(シーガイア)、沖縄が名乗りをあげている。
 おぞましい、恐るべき事態です。
 賭博はコントロールできるか?現実には、人間の脳への刺激に起因する依存症の発症をコントロールすることは出来ない。
 カジノは、既存のビジネスを共喰い(カニバライズ)する。大阪のUSJの経済波小効果は5900億円だったが、地元の商店街は潤っていたという事実はない。
 カジノのもうけは、「客の負け分」にほかならない。大阪にカジノがオープンしたとしても、すでに飽和状態にある商業施設のなかで、多くの競争相手を向こうにまわしてカジノが生きのびるという保障はまったくない。
 かつて30兆円産業といわれた日本のパチンコ産業も、今では20兆円を大きく下まわっている。4割近く落ち込んだ。パチンコへの参加人口も、1790万人(2004年)から970万人(2014年)へと、半減している。
 そのなかで、マルハンとダイナムの2社で、半分の売上げを占めている。カジノと両立できるパチンコ店というのは考えられない。
 アメリカでは、IR型カジノが次々に閉鎖に追い込まれている。
 カジノは、バクチです。人の心を荒廃させ、まわりに不幸を持ち込むものです。そんなものにたよる社会は不健康ですし、長続きするはずもありません。
 大阪の橋下市長も、安倍首相も狂っているとしか言いようがありません。ところが、そんな彼らが、子どもに道徳教育を強制しようとするのです。世の中は、本当にわけが分かりませんよね。どうなっているのでしょうか。有権者は、一刻も早く目を覚ますべきだと思います。
(2015年1月刊。1100円+税)

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