弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年12月 8日

ミッキーマウスのストライキ

アメリカ


著者  トム・シート 、 出版  合同出版

 アメリカにも労働組合がありますし、ストライキもあるようです。でも、あのウォルト・ディズニーのスタジオに労働組合があり、ストライキを決行し、デモもしていたというのです。
 1941年のディズニー・ストライキに参加し、ウォルト(経営者)側についたアニメーターたちは、著者の目を見て話すことが出来なかった。視線が床を泳ぎ、口ごもったり、うなったりする。ところが、ストライキに参加した人たちは、視線がまっすぐで、静かな自信が感じられた。老年にもかかわらず、目の輝きは失われず、天下のディズニー・スタジオを活動停止に追い込み、ウォルトを大激怒させた思い出話を語ってくれた。やっぱり、こんなに違うんです。
 アメリカのユニオン会員(労働組合員)数は、1929年以来、最低の人数になっている。そのため、300万人のアメリカ人が健康保険を受けられず、数千万人が蓄えも老後の資金もない状況にある。
 1930年代には、誰もが週46時間、休みは日曜日のみ、土曜日は朝9時から昼1時まで働く。月曜から金曜までは朝9時から夕方6時まで働いた。このころ、有給休暇はなかったし、年金制度もなかった。
 第一次世界大戦で戦った元兵士の一群がボーナスの支給を求めてワシントンを行進した。立ちはだかったのは銃剣隊だった。
 このころ、ヘンリー・フォードは、自宅に機関銃を備え付けさせた。
 ハリウッドにマフィアが浸透していった。労働組合側にも、経営者側にも、マフィアが入りこみ、支配するようになった。
 コメディ番組「アイ・ラブ・ルーシー」の主役のセシル・ポールは子どものころ、祖父によってアメリカ共産党員として登録されていた。孫の将来を考えてのことである。孫たちに何かあったとき、ユニオンや共産党が支えになってくれるという期待があった。それは普通にありふれたシーンだった。アメリカにも、そんな社会状況がかつては存在していたのですね。驚きました。私も子どものころ、よく「アイ・ラブ・ルーシー」を見て笑っていました。
 上下2段組で600頁もある大作です。ディズニー映画が好きだったものとして、その内幕を暴露している本書は貴重な資料になっていると思います。それにしても、日本がアメリカと同じように労働者の権利を行使しないようになり、まったくたたかおうとしないのは、本当に残念です。
 日本のアニメ界で働いている人の大半は、労働組合に加入せず、がむしゃらに働かされているとのことです。ひどい話ですね。
(2014年6月刊。6200円+税)

 明後日(10日)、特定秘密保護法が施行されます。今でも、国民に十分な情報が知らされていないのに、ますます私たちは必要なことを知るのが難しくなってしまいます。
 土曜日(6日)昼、天神で三浦会長を先頭にこの悪法の廃止を求める宣伝活動をしました。珍しくテレビ、新聞の取材があり、昨日(7日)の西日本新聞は一面トップで取りあげていました。私も写真に小さくうつっています。
 いよいよ選挙の投票日が近づいてきました。事前予想では自民党が大勝するとのこと。憲法違反の集団的自衛権を行使できる法改正が現実化していくことが怖いです。自民党の大勝といっても支持者は減っています。4割の得票で8割の議席を得るという小選挙区制のマジックなのです。国会に民意が反映しないのでは困ります。ともかく、投票所にみんな行きましょう。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー