弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年11月17日

イモムシのふしぎ

生き物


著者  森 昭彦 、 出版  サイエンズ・アイ新書

 世の中の大きな不思議の一つが、イモムシがチョウになるっていうことですよね。いったい、どうして、あの葉っぱにへばりついている丸々したイモムシが大変身して、空をひらひらと飛ぶようになるのでしょうか・・・。万能の創造主の神様だとしたら、何もそんなまわりくどい発想をしなくても良さそうではありませんか。
 この本には、いろんな色と形と機能をもったイモムシがたくさんのカラー写真で紹介されています。不思議、フシギのオンパレードです。
 シジミチョウ科のウラギンシジミは、刺激を受けると、お尻の煙突から大きなホウキをにゅっと出し、掃き掃除をするように振り回す。
 その写真があります。タンポポの穂みたいなものを出しています。不思議というより、奇怪です。そのうえ、アリと交信するためか、ひっきりなしにお腹をこすって音を出しているとのこと。
シロチョウ科のキタキチョウは、放糞器をもっている。お尻からフンを放出する。飼育ケースで飼っていると、フンがピシッとかカツンとか音がして、うるさいほど。これは、自分の現在地を知られないようにするための撹乱戦法。うひゃあ、そんな芸当もするのですか・・・。
 はるばる海を渡る空の旅人、アサギマダラは、毒蝶。毒物を貯蔵することで、スタミナを蓄えた毒蝶となり、壮大な移動生活を堪能できるようになった。ふむふむ、そうなんですか。
 ヤママユガ科のウスタビガは、指で軽くつまむと、鳴き声を奏でる。それは、悲鳴なのか、怒号なのか・・・。そしてマユづくりをはじめるときには、「きゅうきゅう」と鼻歌をうたい出す。
そして、なんと、イモムシは美味しく食べられるというのです。
 シンジュサンは、幼虫はゆでてポン酢ジュレで食べる。小松菜の白和えを思わせ食べやすく美味。
 エビガラスズメは、サナギをゆでてポン酢で食べる。青大豆のトーフを思わせ、さわやかでクリーミーな食感。
モンクロシャチホコは、桜の香り、肉質のうま味。外皮の弾力と、どれをとっても最高。クセがないので、初心者にオススメ。
 ヒメヤママユは、毛が柔らかく、もずくのような食感で、とても心地が良い。
 ナミアゲハは、柑橘系の香りがしたり、山椒の芳香がしたりする。とても風味がいい。
 写真がついていますが、もちろん、みな、丸々としたイモムシです。これを食べて美味しいと叫んでいる女優さんを一度見てみたいものです。私は、そのあとにします。いくら食糧難(危機)といっても、ものには順序というものがありますので・・・。
 イモムシに関心のある人のほか、ゲテモノ食い好きの人にも、おすすめの本です。
(2014年8月刊。1200円+税)

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