弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年7月 8日

帰ってきたヒトラー

ドイツ


著者  ティムール・ヴェルメシュ 、 出版  河出書房新社

 第二次世界大戦末期、ベルリンの首相官邸(地下壕)でヒトラーは自殺し、遺体は地上で忠実な部下によってガソリンをかけて焼却された。哀れな末路です。ところが、本書ではヒトラーは死んでおらず、現代ドイツにガソリンくさい服を着たまま眠りから覚めて動き出すのです。
 戦後60年以上たつわけですから、ヒトラーが復活してきても、周囲が受け入れるはずがない。と思いきや、意外や意外にヒトラーは現代社会にたちまち順応し、人々と会話し、パソコンも駆使してメディアの人気者になっていくのです。それほど復古調が現代社会に満遍なく普及し、充満していることを痛烈に皮肉っているわけです。
 かつてのヒトラー演説を、さすがにユダヤ人排斥の部分はカットして、そのままメディアで流したとき、拒絶反応だけでなく、広い共感と支持が集まったというのです。
 これが小説だと分かっていても、やはり、その素地があることを認めざるをえないのが怖いですね。それだけ所得の格差が拡大し、人々が強い、はっきりモノを言ってくれる指導者・リーダーを待望しているということなのでしょう。しかし、その結末は恐ろしいことになってしまうのです。多くの人々は毎日の生活にタダ追われているため、ひたすら流されていってしまいます。怖いことですよね。
 上下2冊の大作です。ドイツでは130万部も売れたという大ベストセラーですが、本当によく出来た、怖いばかりの展開です。
外交をまかせていたフォン・リッペントロップは容貌だけとれば、どこにも非の打ちどころのない人物だ。しかし、実はどうしようもない俗物だった。結局、見かけがいいだけでは、だれの何の役にも立たない。
アベ首相が集団的自衛権の行使を認める閣議決定を強行し、日本が「戦争するフツーの国」に変貌しつつあるいま、東條英樹が再臨したら、ちょっとばかりの騒動は起きるのでしょう。クーデターを誘発したり、内戦状態になるようなことは絶対にあってはならないこと。知らず識らずのうちに外堀が埋められ、いつのまにか戦争に引きずりこまれて嘆くような事態だけはあっては許せません。
 若者よ、反ヒトラー・反東條そして、いまのアベとの戦いに奮起せよ。と叫びたくなりました。
(2014年9月刊。1300円+税)

 フランス語検定(1級)の結果が分かりました。もちろん不合格です。最低合格点が87点のところ、53点でした。あと35点もとらなくてはいけません。不可能とまでは言いたくありませんが、至難のレベルであるのは間違いありません。
 ちなみに、自己採点では55点でした。仏作文や書きとり試験など、採点の難しいのもありますので、誤差の範囲だと思います。ショックなのは、昨年より10点も落ちていることです。
 めげずに、これからも毎日フランス語の聞きとり、書きとりは続けます。語学は最大のボケ防止になります。

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