弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年6月26日

震える・・・許さない!カジノ賭博の合法化

社会


著者  全国カジノ賭博反対連絡会 、 出版  全国カジノ賭博反対連絡会

 自民党がカジノ解禁推進法案の成立を目ざしています。そのため、安倍首相はわざわざシンガポールのカジノを視察して、その実現に向けて世論を誘導しようとしています。
 推進派は規制緩和と経済成長のためと言いますが、要するに、そのホンネは金もうけです。ギャンブルで金もうけしようというのは、戦争のための兵器を売って金もうけしようというのと同じことです。どちらも、弱者を踏み台にして、金持ちがますます金持ちになろうという仕掛けです。
 そんな弱者切り捨て、金持ち礼讃の安倍政権が、片や道徳教育の推進に本腰を入れているのですから、世の中は間違っています。弱者の切り捨ての道徳教育というのは、あきらめを押しつけ、反抗心を奪って従順な羊になれということでしょう。とんでもない「教育」です。これは教育ではなく「訓育」でしょう。
 厚労省によれば、日本の成人男性の1割近く、成人女性の2%近くがギャンブル依存症。ということは、500万人もの日本人がギャンブル依存症の患者だということになる。
 これは諸外国に比べても異常な現象だ。というのも、日本にはパチンコ店が1万軒以上あり、そこに1000万人以上もの人々が出入りしている現実があることによる。
 既に日本は、世界に冠たるギャンブル大国なのだ。そして、そのギャンブル依存症の人々による深刻な事件や犯罪が日々、全国で生起している。
 ギャンブル依存症患者の周囲の人々は、本人の依存行動によって、大変な被害を受けている。家族は、本人の借金の尻拭いをしたりして経済的負担も大きい。家族が良かれと思ってした返済が、本人にとっては、ギャンブル再開の環境が整ったことを意味し、結果として本人の依存行動を助長する。
 この冊子には、ギャンブル依存症の本人と家族、30人の手記が載っています。その始まりがビギナーズ・ラックだったという人が何人もいます。ある日、大勝ちをし、十数万円もの大金を手にして、有頂天になったのです。そして、喧騒の中、たまに大当たりが出ると、その快感を思い出し、忘れることが出来ない。
そして、もうしないと誓っても、ついつい再開してしまう。これをスリップという。
GA(ギャンブラーズ・アノニマス)に参加して、脱ギャンブル1年を無事に迎えると、バスデーを仲間から祝ってもらう。
 ギャンブル依存症は、慢性、進行性の疾患であり、完治することは難しい。
 カジノ賭博場の設置は、窃盗、強盗、殺人、放火などの犯罪の多発をもたらす。
 日本でカジノの合法化を決して許してはいけない。このように痛感させられるタイムリーな小冊子(70頁)です。
(2014年4月刊。1000円+税)

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