弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年1月 2日

HHhH

ドイツ

著者  ローラン・ビネ 、 出版  東京創元社

チェコのプラハでナチスの最高級指導者の一人が暗殺された事件を扱った小説です。
 暗殺されたハイドリヒの生い立ちが語られています。
 ハイドリヒは、ナチスのエリート部隊である親衛隊(SS)の指導者になります。
 ハイドリヒは、陸軍中将に相当する親衛隊の集団的指導者に任命されたとき、まだ30歳だった。ハイドリヒが創設した組織のうち、もっとも悪魔的な「特別行動隊」は、特攻隊やゲシュタポのメンバーからなる親衛隊の特別部隊で、「敵性分子」を始末する任務をになう。共産主義者は言うに及ばず、あらゆる改草の有力者、反体制分子・・・。そして、すべてのユダヤ人。
 そして、このハイドリヒを暗殺するため、ロンドンから二人のパラシュート部隊員が送り込まれた。そして、それを支援する人々。さらに、仲間を裏切る人間もいた。
 この暗殺作戦に賛同しないレジスタンス指導者もいた。成功しても、その報酬が恐ろしいことになるからだ。
ハイドリヒの乗る車が市内にやって来た。暗殺犯が銃を撃つ。しかし、不発だ。別の男が爆弾を車に投げつけ、爆発する。しかし、ハイドリヒはケガをしただけ。
 やがて病院に運び込まれ、見かけ以上に傷は深刻だということが判明する。そして、容態が急激に悪化して、死に至った。
 その報復としてヒトラーは、リディツェ村を地国から消し去ることを命令し、大虐殺が始まった。
 しかし、このリディツェの虐殺によって、ヒトラーはもっとも得意とする分野で、惨憺たる敗北を喫した。国際レベルの宣伝戦争において、とり返しのつかない失敗を犯した。1942年6月のこと。
 緊張感あふれる小説です。少し、変わった構成で話は進行していきます。
(2013年8月刊。2600円+税)

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