弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年11月29日

メルトダウン・連鎖の真相

社会


著者  NHKスペシャル取材班 、 出版  講談社

NHKテレビで放映された三本の番組を再構成した大型本です.写真がたっぷりあって、迫真力があります。
 すでに亡くなられた吉田昌郎所長(福島第一原発)は、何度も、死ぬだろうと思ったと振り振っています。
 1号機の爆発、3号機の爆発、そして2号機の原子炉に注水するとき、なかなか水が入らず、最悪の場合メルトダウンが進んで、コントロールが不能になって、これで終わりかなと感じた。これで終わりということは、東京をふくむ250キロ圏内に人間が住めなくなるということです。すなわち、日本の終わりを意味していました.幸いにして、そうはならなかったわけですが、今なお、その危険は続いていることを、つい忘れがちです。4号機の使用済み核燃料の取りだし、移動に1本でも失敗したら、同じ状況が生まれるのです。それは、いまからの作業なのです。
 そして、そこを狙ったテロ活動をどうやって防ぐというのでしょうか.秘密保護法で防止することも出来ません。本当に、原発は人類のコントロールできない怖い存在なのです。
小泉純一郎元首相が、しきりに脱原発しろと叫んでいるのに、私は心から賛同します。
 この本には、在日アメリカ大使館の高官が福島第一原発をこっそり訪問して、一人一人、全員に握手してお礼の言葉を述べたことが紹介されています。それほど福島第一原発事故が大惨事にならなかったことをアメリカ当局は喜んでいるのです。とりわけアメリカ側が恐れたのは4号機のプール内にあった大量の使用済み核燃料の行方でした。
 アメリカ大使館の高官は、免震棟にいる一人残らず全員と握手したまわり、事故対応にあたった健闘をたたえた。これに対比すると、わが菅首相は、緊急時対策室で作業に当たっていた人たちの労をねぎらう言葉をかけることもなく帰っていったのでした。これは、人間性の遠いというより、大所高所からの視野の広狭の違いではないかと思いました。
 今回の事故は、日本での使用済み核燃料の危機対策が無防備きわまりないことをあらわにした。もし、むき出しのプールから直接大量の放射性物質が放出されることになったら・・・。
原発は直ちに廃止する。そして、脱原発の作業をじっくり進めていくべきだとつくづく思ったことでした。大型本の割には安価ですし、一読されることを強くおすすめします。
(2013年6月刊。1900円+税)

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