弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年7月20日

「日本国憲法」なのだ!

司法

著者  赤塚 不二夫・永井 憲一 、 出版  草土文化

天才バカボン、ニャロメのマンガで語る日本国憲法なのだ・・・。中味はいたって真面目なケンポーの本です。もちろん、マンガで日本国憲法がちゃんと紹介されています。
 シェーと奇声をあげるイヤミも登場します。これが流行ったのは、私が高校生のころでした。私も、さんざんマネしてマンガを描いていました。バカボンとその鼻毛伸びのびのお父さんも登場しています。
 ニャロメが、「日本人は、アジアの人にずい分ひどいことしたんニャ」と叫びます。本当に、そのとおりです。これは現実(歴史)を直視することであって、橋下徹や石原慎太郎のいう「自虐史観」なんていうものでは決してありません。
このマンガに時代を感じるのは、「ソーリ大臣も悪いことをして逮捕されたベラマッチャいま裁判中」というセリフがあることです。もちろん、田中角栄の裁判を描いています。田中角栄が逮捕された日、私は偶然に東京地検あたりを歩いていました。そして、田中角栄を逮捕・連行した松田検察官は、私の実務修習中の検察指導教官でした。
 裁判官についても、こんなセリフが書かれています。
 「さいきんは国民のためというより、国の権力につごうのいいことを決める裁判官が多いだス」
 いえいえ、残念ながら、昔も今も、権力に弱い裁判官が少なくないという現実があります。
 「憲法改正してゲンバクをつくり、兵器をどんどん作るなら協力します」
 という議員が腰かけていて、ハタ坊が、「こういう国会議員も多いから気をつけよう!」と注意を呼びかけています。この国会議員は、イシバ議員にそっくりです。
 マンガを描いた赤塚不二夫は終戦時に10歳。むかし満州といわれた中国・東北部の奉天(瀋陽)から、母親の手を握りしめて3人の妹・弟とともに日本に引き揚げてきた。赤塚不二夫の父親は憲兵で、特務機関にいて、八路軍(中国共産党の軍。パーロ)をずっと追いかけて工作していた。
 くやしいのは、終戦になって、民間人は軍隊が守ってくれるどころか、置き去りにされたこと。最初に逃げたのが軍部だった。
 そんな目にあっているから、いくら政府が自衛隊のための軍隊だなんて説明しても、ぼくを守ってくれるものじゃない。まるで信用できない。
 今から30年前の1983年4月に初版が出た本です。今に生きる貴重な赤塚流の憲法マンガ本です。ぜひ、ご一読ください。
(2013年6月刊。900円+税)

 参院選で自民党が「大勝」が確実な状況ですが、自民党の石破幹事長がテレビで軍法裁判所について次のように発言しました。
 「これは国家の独立を守るためだ、出動せよと言われたとき、死ぬかもしれないし、行きたくないなと思う人がいないとはかぎらない。そのとき、それに従わなければ最高刑に死刑がある国なら死刑、無期懲役なら無期懲役、懲役300年なら300年を科す。(すると)、そんな目にあうくらいなら出動命令に従おうということになる。
 軍事法廷っていうのは何なのかというと、すべては軍の法律を維持するためのもの」
 たしかに自民党の改憲草案には「国防軍」とあわせて「軍事審判所」を設定することになっています。人を殺しに行けと命令されていやだと拒否すると死刑判決ということです。とんでもないことです。
 自民党はこんな怖い改憲草案を発表しているわけですが、そのことを、選挙最終盤で言い出しました。
 弁護士会(日弁連)は10月3日、広島で、「今、なぜ国防軍なのか」というシンポジウムをもち、自民党の改憲草案、とりわけ「国防軍」構想を集中的に議論することにしています。
 国民にしっかり情報を伝え、そのうえで選択してもらいたいからです。

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