弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2012年9月 3日

イルカの認知科学

生き物

著者   村山 司 、 出版    東京大学出版会 

 イルカは親子間の絆が深い。イルカは、一般に授乳期間は2年くらい。子イルカは、母イルカの上部にくっついている。母親のつくる水流に乗って前進できるので、楽になる。
イルカは、「音感の動物」とも言われるように、優れた聴覚能力を反映して音を使ったコミュニケーションを行っている。
 バンドウイルカは個体固有のホイッスルを一度獲得したら、一生変わらない。発信者の特定や個体を識別するための信号の役割をしている。
 イルカは、アイコンタクトが大切だ。イルカは、なんの報酬(エサ)も与えていないのに、嬉々として実験に応じる。かといって、どのイルカも、みんな喜んでずっと遊んでまわるというわけではない。
 ヒトがタバコをふかすしぐさをまねすると、子イルカが口から空気の泡を吹き出す。ヒトが手を上げるとイルカは胸ビレを上げ、ヒトが身体を回転させるとイルカが自分もそれに合わせるようにまわる。このように、イルカはヒトの動作をまねしたりする。
 シロイルカは、海のカナリアと呼ばれるように、ふだんから、さまざまな鳴音を発する。実に、にぎやかで、美しい声である。
海中にすむイルカの生態を研究するというのは、実に根気のいる仕事だと思いました。でも、そんな真面目な努力がこうやってまとまると、生物の能力のすごさを、私のような一般人が理解できるわけです。早いとこ、天草のイルカ・ウォッチングに行ってみたいものだと思ったことでした。
(2012年3月刊。3400円+税)

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