弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2012年7月29日

がん放置療法のすすめ

人間

著者  近藤 誠 、 出版   文春新書  

 がんが見つかっても、あわてて治療を始めないこと。放置しておくのも一つの対処法だと著者は力説しています。
 がん放置療法の主人公は患者。監視療法は、医者が患者を監視、支配し管理する。
 がん放置期間中は、がんであったことを忘れて、何も検査しないのがベスト。
 前立腺で、骨転移で痛みがあれば、治療を受けるのが妥当。そして、抗がん剤治療(化学療法)は、寿命を縮めてしまう。高齢者には、抗がん剤は特に危険。
 鎮痛目的で、2種類以上の方法を同時に始めないこと。
CTは放射線検査の中で線量が多く、被曝による発ガンの危険がある。胸部レントゲンによる被曝線量はCTのそれの数百分の一でしかない。
実のところ、健診は受けないのが平和に長生きするコツなのである。
抗がん剤治療は縮命効果が大きい。実は、スキルス胃がんは、手術さえしなければ、人が思っているよりずっと長生きできる。
 ええっ、と思いました。私の親しい弁護士は30代で亡くなってしまいましたが、手術しなければもっと長生きできたのでしょうか・・・。
そもそも胃がんの手術で胃を全摘したり、大きく切除したりするのは、原則として間違いである。
 そうなんですか・・・。ちっとも知りませんでした。
 がん放置療法の要諦は、少しの期間でいいから様子をみる点にある。その間にがん告知によって奪われたころの余裕を取り戻す。
がんは老化現象なのである。老化現象だから、放置した場合の経過が比較的温和なのである。
 がんについて、改めて考えさせられる本でした。
(2012年4月刊。780円+税)

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