弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2012年7月16日

ラーメン・うどん・そば店の教科書

社会

著者   藤井 薫 、 出版   秀和システム

 不況でも繁盛する麺類の店の秘訣が図解されている楽しい本です。
 著者は私と同世代。もともとは飛行機などの設計をしていた人です。それが、讃岐うどんの本場を地元としていたため麺の機械づくりに従事するようになり、そのうちに麺の販売さらには麺類の店を展開し、学校まで開設するに至りました。
 麺ビジネスに一生懸命やれるか、熱い情熱をかけられるか、それがカギだ。
 なるほど、情熱が一番なのですね。
短期間でプロになり、その後もずっと進化し続けて、プロであり続けることが重要だ。プロであり続けることは、日々進化し続ける努力が必要なことを覚悟しなければならない。
 なーるほど、私も若手弁護士に対して、口を酸っぱくしてプロを目ざせ、中途半端な仕事をするなと言い続けています。
 うどんとラーメンとでは、小麦粉に求められる品質が異なる。うどんは、たんぱく質含有量が8~9%の中力粉が適している。ラーメン用の小麦粉に比べると硬さは低く、でんぷんの粘り強い小麦粉が必要だ。国内産で粘り強いもの、オーストラリアのASWという品種の小麦粉がお勧め。北米でとれる小麦粉はうどん用には適さない。
 ラーメン用は、うどん用よりたんぱく質含有量の高い小麦粉を使う。麺線が細いほど、たんぱく質含有率の高い(13~14%)準強力粉か強力粉を使う。11~12%の準強力粉を勧める。ただ、ラーメンも太い麺になるほど、うどんに近い、たんぱく質含有率8~9%の粘り強い小麦粉が必要になる。
 ふむふむ、こんな違いがあるのですね。知りませんでした。
毎年、1日10店が開業し、同じく10店が閉店する。閉店する店の多くは、開業して1年未満の新店である。
 たしかに、私の知る国道沿いのうどん店もオープンして1年あまりで閉店してしまい、ついに私は店に立ち寄る機会がないままでした。
 繁盛している店ほど、食べ物を売っていない。夜に繁盛している店のほとんどは、昼も大変繁盛している。繁盛している店ほど、メニュー数は少ない。
お店にとって、同じようなライフスタイルをもった人たちが同じ店の中にいるほうが、よほど心地よい。
外食の飲食店は、「非日常空間」が演出できることが重要だ。いくらきれいでも、普通の民家のような造りになってしまってはいけない。
手造り感を出すのも一つの方法だ。きれいで整っている店より、下手な大工が作ったような手造り感のある店の方が、味があって評価されやすい。
 夜の営業では、店の外壁の照明が明るいことも重要だ。店の外壁が暗いと、営業していないように見えてしまう。
最近の客は相席を嫌がる人が多いので、ラーメン店ではカウンター9席、うどん・そば店ではカウンター席18席がもっとも効率良い。
カウンター9席しかないラーメン店が厨房内の2人で1時間に5回転、10時間営業で450人の客をさばいている。
 とても実践的な本です。もちろん、麺類の店にはお客として行くだけの私ですが、とても分かりやすく、プロ志向の弁護士である私にも勉強になりました。
(2011年12月刊。1400円+税)

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