弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2012年6月18日

民間療法のウソとホント

社会

著者   蒲谷 茂 、 出版   文春新書

 著者は私と同じ団塊世代の人であり、健康雑誌の編集長をつとめていました。ですから、民間療法の表だけでなく、裏も知り尽くしています。いま、いろんな民間療法がもてはやされていますが、この本を読むと、民間療法の大半が根拠のないものに見えてきます。
 紅茶キノコ、酢大豆、尿療法、ヨーグルトきのこ、ダイエットテープ、美肌水、にがり、爪もみ、トイレ掃除、魔法の言葉、腰回し、手相書き、朝バナナ・・・・
 これは、みな『状快』という雑誌が天まで高くもてはやしたものです。すごいですね。たしかに一時はすごいブームになりましたよね。そして、今ではすっかりみんな忘れ去っています。私は、幸いにして、どれも利用していません。
 私が10年来、愛用しているのは青汁です。このおかげで、境界型糖尿病と診断されたこともある私ですが、とんと無縁になりました。ありがたいことです。効能を信じて飲み続けています。
 健康雑誌が自作自演するほど罪つくりなことはない。ブームをつくり、自社で販売するわけなので、自浄作用がない。そして、健康食品、民間療法を批判できなくなった。
 健康食品の広告の中心は、なんといっても体験談である。体験談はつくりものの可能性もあり、信用するのはむずかしい。
たとえ学会に発表されたものと書かれていても、電子版だと査読されずに掲載されていることがあるので、うかつに信用はできない。
 健康雑誌は、お年寄りの『少年ジャンプ』だね。子どもたちの夢と希望をのせるマンガ雑誌と同じで、健康雑誌はお年寄りの夢と希望を実現しようとしている。
 アガリクス、ウコン、コラーゲン、グルコサミン、セサミン、黒酢、みんないわれるほどの効能はないようです。それどころか、下手すると副作用があるといいます。
 実は、私は毎晩、健康酒を飲んでいます。梅酒から始まって、しいたけ酒、ニンニク酒、プラム酒などです。私の一番のお気に入りは、姫リンゴ酒です。上品な香りで舌ざわりもよく、最高の果実酒です。ほんのちょっぴり甘いのがいいのです。今も、ちびりちびり飲みながら書いています。おやすみなさい。
(2011年9月刊。730円+税)

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