弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2012年4月 7日

現代美術キュレータという仕事

社会

著者   難波 祐子 、 出版   青弓社

 いま、パリにいる娘がキュレーターを目ざしていますので、親として少しは勉強しておこうと思って読みました。
日本でキュレーターになるのは、なかなか難しいことを再認識させられました。職業として自立できるかどうかはともかくとして、美術館や博物館に足繁く通うことは人生を豊かなものにしてくれることは間違いありません。
 数ヶ月パリに留学しただけで美術館で働くキュレーターになれるほど現実は甘くないのだけは確実だ。
 それはそうだと思います。何事によらず、何年かの下積みの努力が求められるものですよね。
 キュレーターの定義としては、展覧会の企画をおこなう人、そして展覧会を通してなんらかの新しい提案、ものの見方、価値観を創り出していく人。
 1951年に定められた博物館法に学芸員を定義している。学芸員は博物館資料の収集、保管、展示および調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる。つまり、学芸員は、展覧会の企画展示や資料調査だけでなく、作品保存、収集保管、さらにはその他の関連事業という、なんとも曖昧な定義の事業も含めた多岐にわたる仕事をこなさなければならない。
 日本の美術館学芸員の守備範囲は、海外のキュレーターよりもかなり幅広い。
現在、日本全国で年間1万人が大学の単位修得によって学芸員の資格を得ている。しかし、すぐに現場で求められる能力をもった学芸員となることは、ほぼ不可能である。
 キュレーターの仕事のイメージがおぼろげながらつかめる本でした。娘よ、がんばれ。初志貫徹を心から望んでいます。
(2011年10月刊。2800円+税)

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