弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年12月30日

わたしを宇宙に連れてって

宇宙

著者   メアリー・ローチ 、 出版   NHK出版

 質問。宇宙遊泳の最中に、船外に出ている宇宙飛行士の生命を救える可能性がゼロに近い事態のとき、どうしますか?
 回答。その飛行士を宇宙船から切り離す。
 こんな答えをためらうことなく出すなんて、とても常人にはできませんよね。でも、正解はこれしかないというのです。他の飛行士の生命を危険にさらすわけにはいかないからです。いやはや、残酷なことですね。
 宇宙探査は、次第に特別なものではなくなっていた。退屈なものでもある。
短気で、いいかげんな作業をして平然としているような人物は宇宙飛行士には向かない。
 宇宙飛行士は、人並み外れて有能で優秀な人々でなくてはならないことは今も変わらないが、必ずしも人並み外れて勇敢である必要はなくなっている。推奨される特性は、大惨事に直面しても冷静に行動できること。何かあったとき、パニックになる乗員は、ただの一人もいてはならない。
 宇宙は、フラストレーションばかり押しつけてくる情け容赦ない環境であり、宇宙飛行士は、そこで事実上、監禁状態に置かれる。そこに長いあいだ囚まわれていると、フラストレーションはやがて怒りに変わる。怒りは、はけ口とターゲットを求める。
宇宙飛行士は、他のお友だちと仲よく遊べる子でなくてはいけない。英語をつかって、円滑にコミュニケーションが取れるかどうかは飛行士になるための大きな要素になる。
無重力状態のなかで、臓器は胴体の内側で浮揚する。宇宙飛行士の50~75%が宇宙酔いのさまざまな症状に苦しめられている。
 宇宙船にシャワーはない。宇宙飛行士は濡れタオルやドライシャンプーを使っている。
 下半身不随の人は、最終的に下半身の骨の3分の1から2分の1を失う。宇宙ステーションに6ヵ月間滞在すると、出発前と比べて骨量の15~20%は減少している。
 無重力空間での排泄は単に面白おかしいだけの問題ではない。おしっこするというごく単純な行為が、重力がないというだけで、カテーテル挿入やら緊急事態に発展することがある。宇宙空間では、尿意の仕方が異なる。重力があると、膀胱のなかに液体廃棄物を膀胱の底に引き寄せる。限界が近づくにつれ、伸長受容体が刺激される。ところが、無重力空間では、尿は膀胱を刺激しないから、尿意がない。時間を決めて排尿するしかない。
糞便バッグを用意しておく。バッグを丸めて封をし、不愉快なモンスターを永遠に閉じ込めるのに、殺菌剤の小袋を破り、中身をバッグに絞り入れ、殺菌剤がまんべんなく行き渡るよう、手でよくよくもまなくてはいけない。
 女性の宇宙飛行士が少ないのは、プライバシーの守られない宇宙トイレ開発が遅れているのも原因になっている。なんとまあ、宇宙ステーションって、大変なんですね。
(2011年6月刊。760円+税)

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