弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年11月 4日

もっと論理的な文章を書く

司法

著者     木山 泰嗣 、 出版   実務教育出版

 裁判官に読んでもらう書面(訴状や準備書面)は、やはり論理的でありたいものです。この本で著者が強調していることは、私の頭の中にすーっと入ってきました。まさしく論理的な文章でした。やはり、ときどきはこういう基本的なことに目を向けて意識的に努力することが必要なのですよね。
 論理的な文章とは何か、その一般的な定義はない。要は分かりやすい文章であり、整理された文章であること。
 論理的な文章とは、ものごとがきちんと整理され、検討すべき問題がひとつひとつ順序立てられたうえで、明快に、かつ、矛盾なくしるされた文章である。
 論理的な文章の最大のメリットは、説得力があること。論理は、感情を正当化する手段である。明快であるということは、一読してすぐに論旨がはっきりするという意味。すらすら読めて、すぐに理解できる文章のことである。
 自己矛盾があると、一挙に論理性はなくなってしまう。
重複を避け、「前述のとおり」を使う。また、書くべき要素が多いときには、「次のとおり」を使う。
 文書を書く前には、メモを書いて整理をしておくこと。
 文章を書く方法として、先に見出し、小見出しのタイトルを構成段階で決めてしまい、そこに肉付けとして、ひとつひとつ文章を書いていくやり方がある。
 私も、大見出し、小見出しを必ずつけるようにしています。
 段落にある最初の1行目は、1マスあけをする。これによって文章をパッと見たときに、すっきりした印象を与え、効果的である。
まとまりのある文章であっても、適度に改行していくことが必要である。「である調」と「ですます調」は、いったん選択したからには、その文章では一貫して使い続けること。
 文章を書き始める前に、あらかじめ結論を決めておく。書きながら書く内容や結論を考えると、おかしなことになる。これは本当にそうです。自由作文や小説なら、書いていくうちにどんどん発想がふくらんでいって、書いている本人までもが、どんな結末になるのか予測がつかないということがあります。それはそれで楽しい作業です。ところが、準備書面などは、そうはいきません。はじめから結論ないし目標を定めておかなければなりません。
 選択した、印象に残りやすいキーワードは、統一して使い続けること。
自分の考えを述べるときには、必ず論拠を示すこと。そして、論拠を示すのは自分の考えを述べたあとにする。この順番が逆だと読んだ人は、その学者の考えをただ引用してマネしただけだと受けとってしまう。
 著者は年間400冊の本を読まれるそうです。私は、久しく年間500冊の単行本を読んでいます。今年も10月半ばで400冊を突破しました。読書ノートを書いていますので、間違いありません。
 本を読んでいると憂さを忘れますし、頭の中が絶えず新鮮な刺激にみちてきます。
(2011年9月刊。1300円+税)

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