弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年9月26日

赤ちゃんの不思議

人間

著者   開 一夫 、 出版   岩波出版

 赤ちゃんって、いつ見ても可愛いですよね。我が子も、みな、とっても可愛くて、眼に入れても痛くないというたとえが実感としてよく分かりました。孫のほうは残念ながらまだ経験がありませんが、とても可愛いとみな言ってますね・・・。
 その赤ちゃんが可愛いだけの存在ではなくて、意外な能力とパワーを発揮していると言うのです、ええーっ、どんな・・・?
 赤ちゃん学は、この30年ほどで目覚ましい発展を遂げた。それまで、まったく無力と考えられてきた赤ちゃん像がくつがえされている。今では生後まもない赤ちゃんでも、さまざまな能力を持っていることが明らかになっている。
 生後1時間にもみたない新生児も「顔まね」する。「顔まね」というのは、たとえば大人が赤ちゃんに向かって、舌をベローッと出すと、赤ちゃんも舌を出すということです。こう動かすと視覚的にこうなるというのを、鏡によって理解していなくても顔まねできるというわけで、これは本当に不思議なこと。
 母親が妊娠中にリラックスするために見ていたテレビドラマのテーマソングが胎児にも影響していることが分かった。
 人間の顔が正面を向いて目もこちらを見ている写真と、あらぬ方向を見ている写真とを比べてみせると、明らかに赤ちゃんは、目が正面を向いている刺激のほうにひきつけられる。赤ちゃんは、早いうちから自分なりのやり方で世界をとらえ、様々な情報を非韋に効率的に処理している。赤ちゃんは、何か描かれるのをただじっと待っているキャンバスではなく、もっと能動的でダイナミックな対象としてとらえるべき存在だ。
一般的に、生後12ヵ月までに男の子と女の子とは違う玩具を好むようになる。
 女性は男性と比較してコミュニケーション能力に長けている。相手の表情から感情状態を読みとったり、延々とおしゃべりするのが好きだったり、一般的には対面コミュニケーションや社会的認知能力が優れている。
 赤ちゃんって不思議な存在だ、なんて言ってるうちに、みるみる大きくなっていき、幼児が小児になり、児童、そして少年やがて大人になります。ですから、私たちの未来は赤ちゃんにかかっているわけです。そんな赤ちゃんを、みんなで大切に育てたいものです。
(2011年5月刊。720円+税)

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