弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年8月 8日

宇宙誕生

宇宙

著者  マーカス・チャウン    、 出版  筑摩書房 

 かつては宇宙の年齢は90億歳から150億歳のあいだだと言われてきた。いまは、137億年プラスマイナス1%と突き止められている。
 宇宙誕生の直後に起こった超高速膨張、インフレーションはとても速い、それは光より速い。宇宙はごくごく小さい領域からインフレーションによって膨らんだため、初めはすべてが接触しあっていた。
 ええっ、光速より速い膨張があったなんて、どういうことなんでしょうか。形ある物体が光より速く動いたなんて素人の私には考えられないのですが・・・・。
 COBEは、宇宙背景放射の温度が方角によってごくわずかに異なることを発見した。空にはホットスポットとコールドスポットがあって、それはよくさざ波にたとえられる。ホットスポットは、空の平均温度に比べてわずか10万分の3度高いだけなので、発見されるのに四半世紀以上かかったのも不思議ではない。ホットスポットは、初期宇宙において平均よりわずかに密度が低い領域に相当する。他方、コールドスポットは、密度の高い領域、つまり塊に相当する。塊りはとてつもなく大きく、さしわたしが1億光年から25億光年にも及ぶ。宇宙でもっとも古く、もっとも大きな構造で、今日の宇宙に存在する巨大銀河団の「種」である。
COBEが初期宇宙に見つけた物質の塊はあまり大きくなく、その重力によって物質が引き寄せられ、ビッグバンから137億年間で銀河や銀河団ができるのは、不可能だから、大量のダークマターの助けが必要である。
天文学者は宇宙の物質の85%が「光を発しない」ダークマターであって、それは目に見える恒星や銀河の軌道を曲げる重力の効果を通じてしか検出できないと考えられている。天文学者にとってさらに厄介なのは、ダークマターが何から出来ているかについて、何もないアイデアがないことだ。
宇宙がいまの3倍の年齢に達すると、宇宙背景放射の温度は今日の3分の1になる。
4倍の年齢になると、温度は4分の1だ。ビッグバンから1370億年たったときには、火の玉の名残はほとんど消えているだろう。絶対零度から0.3度上でしかない。いまから   1370億年のちに知的生命が存在するとしても、彼らはいまの我々ほど幸運ではないだろう。そのときの宇宙では、万物創造の残光は、基本的に検出不可能で、その秘密には永遠に手が届かないだろう。はるか未来に、火の玉放射がどんな運命を迎えるかは、宇宙の膨張がいつか息切れして反転するかどうかにかかっている。
もし、そのようなことが起こらず、宇宙は永遠に膨張するとしたら、どんどん広がっていく空間の海の中で、死にゆく銀河の島はますます孤立し、放射は薄まって消えていくだけだろう。逆に、もし宇宙の膨張が止まって暴走的な収縮を始めるなら名残の放射はそのような屈辱的な最期から救い出されることになる。
なんだか気の遠くなるような話ですね、これって。
光は、空間を進んでいるときには波のように振舞うが、物質と作用しあうと弾丸に似た粒子の流れのように振る舞うという奇妙な性質をもっている。
 この本には、夜空がなぜ暗いのかという疑問が投げかけられています。星が夜空に無数にあったとしたら、至るところが星から来る光で埋め尽くされ、暗くなるすき間はないはずだという疑問です。これを打ち破るのは、光の速さが有限であること、そのため宇宙にはそこから先は、見えないという地平面があるからだということになります。
夜空が暗いのは、宇宙が有限の年齢をもつため、そして宇宙が膨張しているためなのだ。時の始まりがなく、その後の膨張もなかったら宇宙は存在しえなかった。
これって有名なパラドックスです。
夏は夜空を観察する絶好のシーズンです。さあ、今夜もベランダで月を眺めましょう。
 
(2011年4月刊。1600円+税)

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