弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年5月21日

しまむらとヤオコー

社会

著者   小川 孔輔  、 出版  小学館 

有名な専門スーパーの発祥地が、なんと同じ埼玉県小川町にあったなんて、不思議な話です。どうしてそうなんでしょうか。たまたま、ほんの偶然ということなのでしょうか。そして、この本の著者も小川さんなんですよ・・・・。
しまむらもヤオコーも、どちらも東証一部上場企業。しまむらは全国展開し、福岡県にも店舗がある。ヤオコーは、関東地方のみで、そこでは100をこえる店舗をかまえている。そして、この二つとも、埼玉県比企郡小川町に生まれ、お互いに500メートルと離れてはいなかった。
 両社とも、売上高成長率は年間10~15%。一度出店した店はむやみに閉じることはなく、ほとんどが営業を継続している。
ヤオコーは、ディスカウント路線とは一線を画し、人々に豊かな食生活を提案する「価値提案型企業」としてのポジションを崩さず、増収増益を確保してきた。ヤオコーの目ざす「個店経営」は、できるだけ店舗に自主性を持たせ、店ごとに品ぞろえを変えることをいとわない。「セントラルキッチン方式」一辺倒ではなく、作業効率を犠牲にしてでも、店内で食材を加工できる余地を残しておく。最終加工の作業プロセスを店内に残しておくのは、働く人のモチベーションを高め、来店する顧客に商品の新鮮さと売り場のにぎわいを提供するため。そのため、メニュー開発などに、パート従業員の知恵を積極的に活用している。
 しまむらは、一貫して右肩上がりの成長を続けている。2010年の売上高は4296億円、経常利益は381億円である。しまむらの店舗は、店内の床もトイレの床も御影石だ。トイレはホテルなみに豪華にするというトップの考えによるが、そうすると掃除が楽という効果もある。うむむ、なーるほど・・・・。しまむらでは。仕事のマニュアルが確立していて、従業員は定時出社、定時退社で残業はない。うへーっ、これって、本当にそうなんですか・・・・?
 しまむらの店長は、全員が正社員である。しまむらが店舗を探すときには、セスナをチャーターして上空から観察する。うひょーっ、これってすごいですよ。しかも、出店候補地の周囲2キロ圏内に小学校が3つあることを条件とする。3つの小学校があれば、5000世帯が商圏内に住んでいる。小学校の数は、世帯数や商圏人口を推計するもっとも優れた指標になる。
 むむむ、これは、す、すごいです。さすが、ですね。
 しまむらの商品の90%は中国製。しまむらで買った客は、隣の人と同じ服を着ることは、まずない。すごいですね。商売に成功するというのは、ここまで考えるものなのですか・・・・。とても勉強になりました。
(2011年1月刊。1400円+税)

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