弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年4月 4日

ファー・アウト

宇宙

著者  マイケル・ベンソン、    出版  新潮社
 
 3月11日の東日本大震災のあと、いつもはテレビを見ない私ですが、さすがに「原発」の危機もあってテレビを見続けました。津波のために人と家がみるみるうちに呑み込まれていく映像は心の奥底深く突きささりました。私自身はもちろん肉体的な被害こそありませんが、すっかり精神的なダメージを受け、危うく「出社拒否」症状に陥るところでした。毎晩、気分が悪くなり、毎朝、重たい気分のまま身支度するのです。被災者の皆さんには本当に申し訳ありませんが、たとえ実害こそ体験せずとも、遠くにいても被災した気分だけはしっかり味わわされてしまいました。
 この本は、そんな地上のこせこせした状況を吹き飛ばすつもりで、このところ毎晩、眺めた宇宙の写真集です。すごいんです。ええーっ、宇宙ってこんなにも美しく輝いているのかと驚きつつ、頁をめくっていきました。
 人間が望遠鏡や写真を通じて観察し、把握しているのは、宇宙のわずか4%にすぎない。銀河系のような比較的過密状態にあるところでも、物質は1立方センチメートルあたり原子1個という密度でしか存在しない。
 これって、とんでもなく薄い状態だと思うのですが、それを過密状態と言うだなんて、いったい宇宙ってどういう構造なんでしょうか。
オリオン大星雲は1270光年の彼方にあって、肉眼でも見える。
 赤い星、青い星、さまざまな形と色をした星と星雲が地上にみちみちています。まさに、夜空は星だらけです。昼間と同じ明るさがあってもよいはずなのに、やっぱり夜は暗いのです。なぜでしょうか・・・。
 太陽と太陽系は、銀河系の中心部から2万5000光年も外側にある。宇宙の中心を自負していた人間の地位は、ここ数百年のうちに急降下してしまった。
 銀河系は、それまではるかに大きいと考えられていたアンドロメダ銀河と同じ重量級の銀河なことが最近判明した。ただし、質量が増えてもサイズは変わらなかった。アンドロメダ銀河の直径は銀河系の2倍で、銀河系にある恒星の数が2000~4000億個であるのに対して、1兆個と算定されている。
 地球は、少なくとも500万年のあいだ、時速90万キロメートルで、泡の中を移動してきた。銀河系のなかで最古の恒星が形成されたのは1365億年前らしい。つまり、ビックバンのわずか1億年後ということになる。
 ここで「1億年後」というのを「わずか」というのは、まったくもってピンとこない表現です。でも、宇宙を論じるときには、あたり前のことなんですね・・・。
 太陽系が銀河系を公転するのに要する時間は2億2500万年から2億5000万年ほど。つまり、地球は、誕生から今日まで、銀河系の中心核を20回から25回しか回っていない。太陽は、その光の恩恵にあずかる人類が誕生してから銀河系の周回軌道をまだ1250分の1周しか回っていない。
 コペルニクスに先立つ2000年前、アリスタルコスは天体観測を重ねた結果、世界の中心は地球でないと結論づけた。そして、恒星がきわめて遠くにあるとした。これってすごいですよね。裸眼でずっと夜空を見て、天体の法則をつかんだわけですからね。
恒星の一生の大半は、主成分の水素を核融合反応でヘリウムに変化させながら輝き続けることに費やされている。
 数十億年後に水素が底をつきはじめると、燃料不足で核融合に支障が生じ、星の構造は錆びついた橋のように崩れ出す。中心核は落下する質量に圧縮され、温度が6倍以上も上昇する。高温によって拡張した外層の表面温度が低下すると、赤色巨星期が始める。星全体の直径は太陽の10倍から100倍になるが、中心核は収縮をつづけ、温度も再び上昇に転じる。やがて核融合が再開されるが、今度の燃料はヘリウムだ。
キャッツアイ星雲が紹介されています。太陽の1万倍もの明るさをもっています。丸い輪がいくつも重なったような形状をしています。
 バラ星雲は、見事なまでにバラの花の形をしています。
 太陽のような星は80億年も輝き続けるが、質量が大きすぎて300万年ほどしか生きられない星が大爆発を起こすと、後に超新星残骸を残す。
 クラゲ星雲は、まさに、海に漂うクラゲのような形状をしています。銀河系のなかでもアンドロメダは広大だ。その大きさは銀河系の2倍で、直径10万光年の銀河系に対し、アンドロメダは20万光年以上に及ぶ。そして、このアンドロメダは、銀河系に近づきつつある。ふたつの銀河系は秒速100~160キロメートルで接近しているので、いずれは衝突する。ええーっ、2つの銀河が衝突するのですか・・・?でも、ご安心ください。それは、なんと25億年後のことなのです。なんとなんと気の遠くなるほど先のことでしょう。
宇宙では、こうした銀河の衝突はよくあること。しかも、銀河が衝突したからといって、そこにある恒星や惑星が互いに衝突することはほとんどない。というのも、銀河のなかは空っぽに近い状態なので、銀河の衝突とは、雲が混ざりあったり、水の流れが合流するのに近いのだ。
 銀河団の大きさは多様で、直径が600万から3000万光年のあいだ、擁する銀河の数は50から数万、数十万におよぶ。
 銀河団は、重力結合という見えない接着剤の力でまとまっているが、それぞれの銀河は超高速なので、ダークマターがなければ、とても一緒にとどまってはいられない。
 夜空は星でいっぱい。昼間のように明るくなくても、どこもかしこも大小強弱さまざまな光にみちあふれているはずの夜空が暗いなんて、なんだか不思議な気にさせてくれる本でもあります。
 星を眺めて、しばし地上の憂き世を忘れたいものです。それにしても、東京電力は許せませんね。おっと、つい地上のことを思い出して、怒りに震えてしまいました。高価な本ですが、それだけの価値はある写真集です。
(2010年11月刊。6000円+税)
金曜日に、事務所内で恒例の花見をしました。依頼者の方々と弁護士・職員をまじえての楽しい会合です。東日本大震災があって自粛ムードが漂っているなかで、どうしようかとも考えましたが決行しました。恐らく参加者は例年より少ないだろうと心配していましたが、予想に反して、例年以上の集まり、しかも、たくさんの手づくり料理を持ち込んでいただいて、テーブルの上に乗りきれないほどでした。
来賓として地方選挙の候補者に挨拶してもらったのですが、福島原発の深刻な事態を受けて、日本の今後のエネルギー政策をどうするかが地方選挙であっても重大な争点にすべきだという指摘があって、なるほど、と思いました。「オール電化」「クリーン原発」の怖さが身にしみましたから、みんなで考えなおすときですよね。

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