弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年3月19日

『日欧文化比較』

日本史(戦国)

著者 ルイス・フロイス、    出版 岩波書店

ルイス・フロイスの日本覚書
1. ヨーロッパでは、未婚女性の最高の栄誉と財産は貞操であり、純潔 が犯されないことである。日本女性は処女の純潔を何ら重んじない。それを欠いても、栄誉も結婚(する資格)も失いはしない。
29. ヨーロッパでは、夫が前方を、そして妻が後方を歩む。日本では、夫が後方を、そして妻が前方を行く。
30. ヨーロッパでは、夫婦間において財産は共有である。日本では、各々が自分の分け前を所有しており、ときには妻が夫に高利で貸し付ける。
31. ヨーロッパでは、妻を離別することは、罪悪であることはともかく、最大の不名誉である。日本では、望みのまま幾人でも離別できる。彼女たちはそれによって名誉も結婚も(する資格)も失わない。
32. (ヨーロッパでは)墜落した本姓にもとづいて、男たちの方が妻を離別する。日本では、しばしば妻たちの方が夫を離別する。
33. ヨーロッパでは、ひとりの親族が(女)が誘惑されても、(その奪還のため)一族全部が死の危険に身をさらす。日本では、父母兄弟が見て見ぬふりをし、そのことをあっさりと過ごしてします。
34. ヨーロッパでは、娘や処女を(俗世から)隔離すること、はなはな大問題であり、厳重である。日本では、娘たちは両親と相談することもなく、一日でも、また幾日でも、ひとりで行きたいところに行く。
35. ヨーロッパでは、妻は夫の許可なしに家から外出しない。日本の女性は、夫に知らされず、自由に行きたいところに行く。
38. ヨーロッパでは堕胎は行われはするが、たびたびではない。日本ではいとも普通のことで、20回も堕胎した女性がいるほどである。
39. ヨーロッパでは嬰児が生まれた後に殺されることなど滅多にないか、またはほとんどまったくない。日本の女性たちは、育てることができないと思うと、嬰児の首筋に足をのせて、すべて殺してしまう。
45. 我らにおいては、女性が文字を書く心得はあまり普及していない。日本の貴婦人においては、もしその心得がなければ格が下がるものとされる。
54. ヨーロッパでは、女性が葡萄酒をのむなど非礼なこととされる。日本では(女性の飲酒が)非常に頻繁であり、祭礼においてはたびたび酩酊するまで飲む。

どうでしょうか。戦国時代の日本女性について、ヨーロッパの人々が大変驚いたことがよく伝わってきますよね。

(1991年11月刊。6600円)

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