弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年1月 2日

マダガスカルがこわれる

世界

著者:藤原幸一、出版社:ポプラ社

 アイアイのいる島、マダガスカルの原生林が消滅寸前だというのです。もちろん、犯人は人間です。現地の人々が生きていくために、森を切り開いています。その結果、野性の動物も植物も生息地を奪われてしまいます。そうなんです。あのバオバブの木も次々に立ち枯れていき、また、種子が発芽して子孫を増やしていくことが出来ません。
 マダガスカルの豊富な自然な写真によくうつっているだけに、その深刻さも、ひしひしと伝わってきます。
 バオバブが本来生息する乾燥した生態系に水が引かれたことから根腐れが起きて、バオバブの木が立ち枯れている。
 マダガスカルの主食は日本と同じ米。ここにも棚田がたくさんある。しかし、森林破壊によって水田の維持が難しくなっている。マダガスカルはずっと米と輸出国だったのに、1970年以降は米の輸入国である。
 マダガスカルの人口は1999年に1572万人だったのが、2009年には、2075万人にまで激増した。10年間で人口が1.3倍に増えた。世界最貧国の一つであり、国民の60%が1日1ドル以下の生活費で暮らしている。
 こんなマダガスカルの貴重な自然をぜひとも保存・維持してほしいと思わせる本です。
(2010年5月刊。1800円+税)

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