弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2010年12月16日

なぜ韓国はパチンコを全廃できたのか

朝鮮(韓国)

 著者 若宮 健、 祥伝社新書 出版 
 
 大変刺激的なタイトルの本です。ひところよりはやや下火になったとはいえ、まだまだ、パチンコ禍は猛威をふるっています。テレビのコマーシャルでもパチンコが増えましたよね。たくさん借金をかかえて行きづまった人のなかにパチンコが原因だという人は相変わらず少なくありません。病みつきになってしまうのです。ギャンブル依存症は病気ですが、その原因をパチンコ店はつくっています。
 2006年8月、韓国政府はパチンコを全面的に禁止した。その前、韓国全土には2万店ものパチンコ店があった。その前年2005年3月に、パチンコ店は許可制から認可制に移行していた。ちなみに、韓国ではパチンコとは呼ばず、メダルチギと呼ぶ。韓国のパチンコは、玉を打たない。日本の中古パチンコ台を輸入して、盤面と液晶はそのままで、釘は根元から切断してある。韓国仕様に改造していた。
98そして、店内では一人で二台も三台もかけ持ちできた。24時間営業であり、台の前に座ったまま、飲食できた。日本と同じ換金方式がとられていた。手数料10%で、商品券を現金に換えた。
韓国警察は、2006年8月にパチンコ台100万台を没収した。
パチンコをめぐって、当時のノムヒョン大統領の甥や側近が関連する贈収賄事件が発覚した。文化観光部の局長なども逮捕され、パチンコ廃止論が一気に沸騰した。
 韓国では、パチンコは低所得者層の遊びだと見られていた。だから、案外、韓国人であってもパチンコが流行していたことを知らない。
 日では、パチンコ業界のお先棒をかつぐ国会議員が自民党だけでなく、民主党にも多い。そして、日本のマスコミはパチンコ業界に大きく依存しているため、パチンコ批判がタブーのようになっている。
 いま日本で流行している一円パチンコは、お客のためというより、税金が安くなるという税金対策からなっている。
パチンコ店の経営者は、その8割を韓国・北朝鮮系が占める。残る2割は台湾と日本人である。
日本も韓国に見習ってパチンコ店を全廃するくらいのことが必要だと私は思います。
それにしても、あんな人工的な騒音のなかで孤独感に浸される人生って、哀れそのものだと思いませんか・・・・。
 この本は著者より贈呈を受けました。ありがとうございます。これからも体験リポートを次々に発表していってください。大いに期待しています。 
 
(2010年12月刊。760円+税)
 宮崎で開かれた弁護士会主催の憲法に関する市民向けシンポジウムに参加してきました。そこで、沖縄の新垣勉弁護士が報告した内容がとても新鮮でした。
 アメリカ軍の基地が沖縄にあるおかげで、軍用地の地主は地代収入があるし、歓楽街をふくめて大きな経済効果があると喧伝されてきましたし、私もそうかなあと思ってきました。
 ところが、アメリカ軍の基地が沖縄から撤去されたときの経済効果は、基地があるときよりはるかに大きいものになるというのです。雇用者も14倍、今の3万人が48万人になると推測されています。これは、沖縄県議会事務局の報告書にあるものです。
 たしかに、おもろ町あたりの基地跡の再開発はすごいですよね。基地がなくなったら、沖縄はもっと平和に発展できることに確信のもてた実り大きいシンポでした。

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