弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2009年12月18日

来し方の記

司法

著者 松尾 浩也、 出版 有斐閣

 著者は私の出身高校の先輩にあたります。そして、大学に入学して1年生のとき、駒場の大教室で法学概論を教えてもらったのでした。といっても、さっぱり理解できなかったのです。このとき、これは教える方が悪いと考えていました。まさに若気の至りです。
 父親が三井鉱山に勤める鉱山技術者でしたから、著者は荒尾市に生まれ、高校(当時は中学)は三池高校にすすみました。そして、熊本の第五高等学校から東大へ進学したのです。
 三池中学校のとき、校庭から長崎の原爆のきのこ雲を見たそうです。大牟田から雲仙の普賢岳はよく見えるのですが、長崎のきのこ雲が見えたのですね……。
 三池中学の卒業生が、五高や七高、佐賀高校を経て毎年4人か5人、東大に入学していたそうです。私の学年からも4人東大に入学しました(下の学年のときに現役2人、浪人2人が合格したのです)。
 安田講堂前に制服制帽で三池中学卒業生が8人集まっている写真があります。私が入学したときも、学生服姿で記念写真をとってもらいました。似たような写真なのに驚きました。
 著者は2年間のアメリカ留学のあと、「法学」を再び駒場で教えるようになり、そのとき私も授業を受けたわけです。全然面白くない授業でした。さっぱり印象に残っていません。もっとも大教室での法学概論の授業が面白いはずもありませんよね……。専門の刑法でも教わったら、もう少し印象に残ったのでしょう。いま思うと、残念としか言いようがありません。
 私は大学生活はセツルメント活動に没頭していて、ゼミに所属したこともありませんので、弁護士になるまで法学部の教授と身近に話をしたことは一度もありませんでした。いつも大教室のはるか遠くの演壇に立っている教授を眺め、初めのうちはぼんやりと、司法試験受験を始めてからは必死にノートを取りながら講義を聞いたものです。
 高校の大先輩に敬意を表して読んでみました。

 11月に受けた仏検(準一級)の結果が届きました。合格点(73点)に2点不足で不合格でした。私の自己採点どおりでした。準一級のペーパーテストはずっと合格してきただけに、ショックです。語学の才能がないことに愕然とします。それでも、気を取り直して、毎朝の書き取りと車中での発声練習は続けます。フランスに旅行する楽しみのためです。

(2008年11月刊。3200円+税)

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