弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2009年10月20日

目覚めよ!借金世代の若者たち

アメリカ

著者 アーニャ・カメネッツ、 出版 清流出版 

 日本の学費は、本当に高いですよね。高くなりすぎました。40年も前のことになりますが私が大学生のころは、月1000円でしたから、年にしても、1万2000円の授業料でした(国立大学)。そして、寮費も同額でした。奨学金のほうは給付5000円、貸与3000円です。寮に住んでいると、最低月1万3000円で生活できました。家庭教授のアルバイト月8000円(週2回)をして、机運びの臨時アルバイトをしたら、親の仕送りがなくても(私は、もらっていましたが…)どうにか生活できていました。
 いま、日本の大学生にも授業料をタダにすることを求める動きが出てきていますが、圧倒的少数派ですし、目立つほどの運動にはなっていません。でも、北欧もフランス・ドイツも、大学の授業料はタダです。それどころか、生活費を国が支給してくれるところだってあります。要するに、子どもに投資して人材を育成したら、そのリターンは大きいということから、国の政策になっているのです。ところが、日本が何かにつけて手本にしているアメリカはまるで違います。ともかく大変高額の授業料をとります。そして、学費ローンを発達させ、学生を卒業してまでローン返済でしばりつけているのです。アメリカって、本当に人間を大切にしない国ですよね。そして、貧乏人は大学へいけないようにしたうえで、軍隊へ勧誘するのです。イラクとアフガニスタンで亡くなった5000人以上のアメリカ兵のかなりの部分が、そんな人たちだったのではないでしょうか。
ここ30年間、アメリカの大学授業料は、インフレよりも、さらにここ15年では、家庭の収入よりも速いスピードで上昇している。4年制大学の学生の3分の2は、学資ローンによる借金を抱えて卒業する。その借金は、平均192万円で、これは毎年増大している。
 教育のあらゆる段階で公的な投資が減少しており、その直接的な結果が、実際に、今日の若者は、親の世代よりも教育を受けていないという現象になって表れている。
 高校の卒業率は、全国平均67%である。アメリカの大学生は、半数が24歳以上で、56%が女性である。20代のアメリカ人の若者の3人に1人近くが大学の中退学者である。
 クレジットカードは、学資ローンというサメのうしろを泳ぐピラニアだ。サメより小さいけれど、もっと貪欲である。学資ローンを扱うのは民間企業であり、数千億円という利益をあげている。学資ローンは、いまのアメリカで数千億円の利益をもたらしながら、補助金や保証によって、リスクからしっかり守られている。
 大学を卒業した時点で、月9万円ものローン返済をしなければならないとしたら、大変なこと。そこで、学生返済のため必死になっているので、法律扶助教会や公的な目的のために活動している団体は、優秀な学生を集めるのに苦労している。
 アメリカが徴兵制度を廃止してからの30年間に、軍隊は、労働者層の野心的な若者たちが職業訓練や大学援助金を得るための数少ない選択肢となった。アメリカ軍は毎年36万5000人を入れる必要があるが、空軍以外はずっと募集目標を達成しできていない。そこで、軍の新兵募集係は、毎週1回は高校にやってくる。
 アメリカの財政赤字のおもな原因は、ブッシュ大統領が数回にわたって大幅な減税をしたため。ブッシュの減税のほとんどは、企業や最高富裕層を対象としたもの。若者の賃金のうわ前をはねて、今日の大金持ちへの懐を太らせている。このことがアメリカの財政赤字を生みだしている。いやはや、格差拡大はアメリカの政権の政策の結果なのです。
 全国的に労働組合運動はひどい状況にある。このような現状を打開するため、若者は政治行動に立ち上がることを呼びかけている。
 この本は、現状に絶望せず、変革のために立ち上がることを呼びかけています。

 日曜日に庭仕事をしていると、えもいわれぬいい香りが漂ってきました。見上げると、キンモクセイの花が木を前面に覆わんばかりです。黄色というより橙色です。そのそばに、紫式部の小粒の花も咲いています。いよいよ稲刈りが始まりました。秋本番です。
 
(2009年7月刊。1900円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー