弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2009年3月 1日

警官の紋章

司法(警察)

著者 佐々木 譲、 出版 角川春樹事務所

 『笑う警官』『警察庁から来た男』に続く、北海道警察シリーズ第3弾です。テレビで放映された『警官の血』も、同じ著者です。いつもながら日本警察の実態を敢然とえぐり取り、ストーリーもよくできていると感心しながら読んでいます。
 テレビで放映された『警官の血』をビデオで見ました。北大の学生運動にスパイとして送り込まれた潜入捜査官が、精神を病んでいく姿は、現実を反映したものだと思います。まともな人には、スパイ活動なんてとてもやれないですよね。
 舞台背景は2008年洞爺湖サミットです。世界の要人が集まり、世間注目の中で、目立ちたがり屋の女性大臣がストーカー男に狙われています。でも、本筋は警備のために東京からやってきた男に狙いがあり、そのことで北海道警に恥をかかせようというのです。自殺させられた父の仇を子がとろうというわけです。
 暴力団との係わりが深い、北海道のホテル・観光施設チェーンが登場します。この本では田森観光となていますが、実名はよく似ていますよね。ええーっ、ホテルまで暴力団親交者だったのか……。日本は、上から下まで暴力団にひどく汚染されていますよね。つくづく、そう思います。これもまた、読み応え十分の警察小説でした。

(2009年1月刊。1500円+税)

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