弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2008年12月30日

さらば!同和中毒都市

社会


著者:中村和雄・寺園敦史、 発行:かもがわ出版
 京都の弁護士が京都市のひどい実態を鋭く告発した本です。いやあ、これはひどい。こんなにひどいのか、と改めて怒りがわいてきます。この本を読んでいてただひとつの救いは、このひどい現状を改革しようとする中村弁護士がいることです。といっても、残念なことに、中村弁護士は京都市長選に立候補したものの、惜しくも当選できませんでした。
 桝本・京都市長が1996年に誕生してから12年間に、逮捕された京都市職員は94人。2006年には1年間に15人も逮捕された。逮捕された京都市職員の犯罪で多いのは覚せい剤の使用と譲渡容疑である。
 その原因について、桝本市長は次のように述べた。
「採用に当たり、社会正義の実現のために同和地区の出身者の優先雇用をするという現業の問題が構造的な問題と言える」
「採用時に、部落解放同盟や当時の全解連に優先雇用枠を与えた。その結果、任命権まで京都市から運動体の一部の人物に行ってしまった。そこにもっとも大きな問題があると考えている」
 そうですよね。市職員の採用が「一部の人間」の恣意によってしまったら、何が起きるか分かりません。犯罪者多発と公金横領の温床です。
 京都市で明るみになった同和補助金搾取事件は総額8000万円。大勢の市職員が関わって日常的に実行されていた。ところが、2003年7月に発表された処分は、対象となった57人のうち誰一人として免職にならず、せいぜい減給・戒告どまりだった。それどころか、当時の市教委総務部長は教育長に、人権文化推進部長は副市長に、もっとも多額の公金搾取を繰り返していた2支部に協力していた担当課長は局長へ昇進した。
 京都市政に巨額の損害を与えても、運動団体とのあつれきを避け、同和行政を「円滑」に進めたことが評価されたわけである。
 いやあ、これでは真面目に同和問題に取り組み、部落解放を目ざしてがんばってきた人は浮かばれませんよね。

(2008年9月刊。933円+税)

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