弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2008年11月21日

ストレスとはなんだろう

人間

著者:杉 晴夫、 発行:講談社ブルーバックス

 アドレナリンとタカジアスターゼは、発見後100年以上たっても盛んに使われ続けている。このほかには、アスピリンがあるだけ。そこで、アドレナリン、タカジアスターゼ、アスピリンは世界の3大医薬と言われている。高峰譲吉は3大医薬の2つまでを発見したわけである。
 ストレス反応の抵抗期の体内の反応には、第一に、脳下垂体→副腎皮質ホルモン→副腎皮質→コルチコイド→体細胞という内分泌系の経路と、第二に自律神経→副腎髄質→アドレナリン→体細胞という自律神経系の経路の2つがある。
 ストレスに対する抵抗を持続する動物のエネルギーには限りがあり、このエネルギーが尽き果てると、動物は急に死んでしまう。それまで加えられ続けているストレスに動物が懸命に耐えているにすぎない。結局、ストレスに抵抗するエネルギーが尽きると、動物は急激に死を迎える。
 副腎皮質がないとコルチコイドが分泌されず、免疫反応を起こすリンパ組織が委縮しないので、ストレスに対し全身に起こる過剰な免疫反応、アナフィラキシーによって動物は死んでしまう。
 コルチコイドは、その抗炎症作用によって、ストレスによる動物のアナフィラキシーによる死をも防止している。不愉快な状況に置かれてイライラして過ごしていると、「なんとなく気分がすぐれない」状態になることが多い。この不快感は、昔から不定愁訴が置かれています。
 不定愁訴を感じているとき、セリエが発見した動物植物の警告反応と同様な、?副腎皮質の肥大、?リンパ組織の委縮、?胃腸壁の出血が実際にヒトでも起こっていることが確かめられた。
 不定愁訴の感覚は、実験動物の体内の警告反応により感じている違和感と同じである。つまり、ヒトが感じる不定愁訴は、まさにストレスを加えられた動物に現れる警告反応と同じ現象であり、ストレスに対して身体が全力で抵抗していることを人間に警告している。
 自律神経が心臓の活動や全身の血液循環をコントロールしている。自律神経系の失調は、心臓や血液循環の疾患を引き起こす。強烈な精神的ストレス(精神的ショック)によりヒトや動物が急死するのは、自律神経系の急激な失調が心臓の拍動を速やかに停止させるから。また、自律神経系の失調は、身体の局部の血液循環(血行)を阻害し、さまざまな疾患を引き起こす。たとえば、精神的ストレスによって起こる頭部の円形脱毛症は、皮膚の血行が局部的に阻害されるため。また、胃腸壁の潰瘍を起こす粘液分泌の減少は、粘液を産出する組織への血流が阻害されるため。
 細胞増殖因子は身体の組織を増殖・更新するはたらきをもつが、ウィルスによりその構造が変化すると、組織の細胞を無制限に増力させるようになる。この無制限の増殖ががんに他ならない。長く続く精神的ストレスは発がんにつながる。
 ストレスについて、その身体的メカニズムを少し認識することができました。やはり、ストレス発散を日常的に心がけておく必要があるようです。
 仏検(準1級)を日曜日に受けました。1997年が1回目ですので、もう12回目です。それでも試験前はいつも大変緊張します。
 はじめは、動詞を名詞に変える問題です。出だしからつまづきました。5問とも全滅です。ああ、これでは1級の試験の二の舞かと暗い気分になりました。なんとか気を取り直して、次に進みます。次は、一つの単語がいろんな意味を持つことで、文章の中にあてはめるものです。このときも分からない単語が次々に出てきましたが、なんとか4問はクリアーしました。次は前置詞です。これはもうヤマ勘でいくしかありません。その次からは長文読解ですので、なんとかなります。およそこういうところだろうとあてはめるのですが、時制を考えると、ほとんど全滅に近い出来でした。
 最後の仏作文にたどり着いたときには、残り時間が20分しかありません。見直すひまもなく、フランス語で文章をつづります。といっても、気の利いた文章なんて書けるはずもありません。似たような文章をやっつけるだけです。ヨーロッパでは日本と違って時間に追われてアクセクしていない。はじめはイラだったが、のんびりした生活を過ごす方が気が休まることに気がついた。そんな内容を仏作文にするのです。私にはちょっと難しすぎる表現でした。
 試験会場は大学の教室です。50人ほど受験生の大半は若い女性でしたが、私と同じようなおじさんも何人かチラホラいました。風邪をひいたのか、途中から鼻をすする女性がいて、すごく気になりました。いえ、そのせいで成績が悪かったと言うつもりはありません。
 試験前の2週間ほどは、過去問を一生懸命にやりました。そして前日からは予想問題のテキストで勉強しました。頭をフランス語モードに切り替えるのが大変なのです。
 試験が終わって校舎を出ると外は暗く、小雨も降っていました。さみしい気分で駅に向かい、電車に乗りました。車内で早速、自己採点します。自分に大甘の採点をしたところ、なんとか7割はとれていそうです。もしそうなら、1月に今度は口頭試問があります。
 年に2回の緊張から解放され、夜は11時過ぎ、早く寝ました。やはり疲れていたのです。
(2008年6月刊。820円+税)

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