弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2008年10月25日

臨床瑣談

社会

著者:中井 久夫、 発行:みすず書房
 70代半ばの高名な精神科医による自由な随想なのですが、丸山ワクチンの効能を改めて紹介するなどして、いま世間の注目を集めている本です。
 私もこの本を読んで、これまで持っていた丸山ワクチンに対する誤解と偏見から脱け出ることができました。なるほど、ふむふむ、そういうことだったんですか……という具合です。
 がん細胞は、一日に何万個という単位で私たちの体内で発生している。しかし、その圧倒的部分は除去される。つまり、毎日できるガン細胞のごくごく一部だけが生き残っているわけだ。
 ガン細胞は、決して正常細胞より強いというわけではない。たとえば、ガン細胞は健康細胞より熱に弱い。闘うといって気負い立つと、交感神経系の活動性が高まりすぎる。ガンも身のうち、とおおらかに構えてみよう。
 胃の粘膜が青年のように若々しい人、肺活量が大きい人の中には、ガンを持ちながら何年も生存し、社会的活動の出来る人がいる。
健康の第一は、よく睡眠をとること。正常細胞は午前2時から3時までに細胞分裂過程のうちの一番きわどい時期を通過する。だから、この時間は眠っていた方がいい。睡眠中に昼間の活動の乱れが直されることは多い。
第二に、おいしいものを食べること。
第三に、笑う。無理にでも笑顔を作って、脳をだましてみるのだって良い。
なお、避けても良い手術、後に延ばせる手術は急がないほうがいい。
丸山ワクチンには、A液とB液とがある。1ccが一つのアンプルに入っている。1日間を置いて、AとBとを交互に皮下注射する。皮内でも筋内でもない。A、B、A、Bと半永久的に繰り返す。40日分で、郵送だと1万500円で入手できる。
 この本の著者は、この丸山ワクチンのおかげで前立腺がんになっても、6年間、無事に生きています。そして、こうやって本を書いたのです。丸山ワクチンは、ガン細胞を攻撃するのではなく、それを囲い込むものだから、ということのようです。
 読んで、決して損しない本があります。この本が、まさにそうだと思います。 
 稲刈りは終わったようです。庭には、いま縁がピンクのエンゼルストランペットの白い花が盛大に咲いています。リコリスに良く似たヒガンバナ科の花も咲いています。輝きに満ちた鮮やかな黄色です。目がぐいぐい魅かれます。
(2008年8月刊。1800円+税)

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