弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2008年9月12日

宇宙の向こう側

宇宙

横山 順一・竹内 薫  青土社
  ビッグバンは宇宙の始まりではない。ビッグバンには「前」がある。宇宙が始まって、何かものすごいことが起きてから、ようやく「ドカン」と宇宙は爆発した。
 量子力学の特徴は揺らぎというものがあること。ビッグバンは宇宙の中で起こるけれども、起こっていることは、私たちには見えない。それは私たちにはブラックホールが出来ているようにしか見えない。
 量子とは、「とびとびの値をとる」という意味。数値が連続してなめらかに変化していくのではなく、とびとびの値しかとらないということ。量子化された状態というのは、デジタル時計のようなもの。いろんな量が、とびとびの離散的な値しかとらない、その意味で、デジタル的な世界というのが量子力学の描く世界である。
 量子は状態を表すものであって、個性がない。
 量子力学の一番の特徴は、ある状態をぴたっと特定できないこと。例えば、ある粒子に着目したとき、その粒子が今どこにあるのか特定できない。もっとモヤモヤした状態でしか言えない。位置と速度を同時に決めることが出来ない。そんな不確定性関係にある。そのモヤモヤこそが、ある意味で、宇宙の全ての構造のもとになっている。
 いろんな宇宙がある。実は、近いところに別の宇宙がポーンとあるかもしれない。あるけれども、全然見えていない。
 私たちの見える範囲、差し渡し140億光年の宇宙というのは、非常に綺麗なかたちをしていて、つるつるで綺麗なもの。140億光年しか見えないからと言って、そこで宇宙が終わっているわけではない。もし140億光年離れたところまで行くことができれば、その先も見えるはず。しかし、行くことが出来ないのでそこから先は想像するしかない。端は、今みえている範囲の500倍以上は遠くにあるだろう。
 200億年経てば、あと200億光年を見渡すことができるというように、時間が経てば見える範囲が広がる。しかし、そのあいだにも宇宙はどんどん膨張していくので、ぐしゃぐしゃな場所もさらに遠ざかっていってしまう。見えるようになるよりも遠ざかる(宇宙が膨張する)スピードのほうが速いので、追いつくことはできない。宇宙の果ては、恐らく、いくら時間をかけても見ることはできない。
 アインシュタインの理論では、地球があると、地球のまわりの空間が曲がる。
 現在、遠くにたくさんの銀河が見える。これらの銀河はどんどん遠ざかっていって、1000億年もしたら、一個しか、つまり私たちの住む銀河しか見えなくなる。ほかの銀河は遠ざかって見えなくなってしまう。それだけ宇宙の膨張は速い。
 ただし、人類があと1000億年もつのかどうか・・・。生命が誕生して38億年というので、更にこれから1000億年ももつのかどうか、ということだ。
 宇宙には、人間を構成しているバリオンとよばれる物質が4%、銀河の周りに目には見えないけれど重力を測ることによってあることが分かるダークマターが22%、それ以外にダークエネルギーが74%あることが分かっている。この宇宙全体で7割以上を占めるダークエネルギーが、つい最近まで、存在することすら分かっていなかったというのは、極めて面白いことだ。今、宇宙に関しては、ダークエネルギーが一番の課題。
 ううむ、宇宙のことはともかくスケールが大きいですね。人生わずか50年と信長は桶狭間の合戦の前に歌ったそうですが、ここで登場するのは何億年というスケールなのです。まるで人間業ではありません。
 
(2008年6月刊。1800円+税)

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