弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年11月22日

美味しい食事の罠

社会

著者:幕内秀夫、出版社:宝島社新書
 砂糖と油脂に殺されようとしている日本人。マック、ケンタそしてホカ弁、コンビニの前を通るたびに、日本人って可哀相だなと思います。もっと、食事を大切にしようよと、叫びかけたくなります。
 食費にあまりお金をかけていない人ほど、油脂をたくさん食べている傾向がある。油脂には、素材の悪さをごまかす便利な働きがある。多少、味の落ちる素材でも、油脂まみれにしてしまえば、なんとなく油脂自体のコクや美味しさで食べられてしまう。素材の味が分からずに美味しく食べられる。
 ファーストフードは、輸入小麦と砂糖と油脂の塊だ。油脂と砂糖は満腹感ももたらしてくれる。人間は、油脂の味や、甘い味を、本能的に求めるようにできている。脳にとって、油脂や砂糖の甘さは快楽である。
 人間の二大欲求は食欲と性欲。性欲のほうがお粗末なため、日本人を過剰なまでに食欲に走らせ、一億総砂糖漬けを招いている。未婚女性の4割に男性の友人がいない。そのフラストレーションのはけ口として、食の快楽に走っている。
 長寿の島だった沖縄で男性の寿命が短くなるという異変がおきている。それは、沖縄男性の半分が肥満になったこと、ハンバーガーショップの普及率が日本一と関連がある。ギトギトと油脂まみれの総菜が沖縄で売れている。
 全国のサラリーマンが夕食にしているのは、甘い缶コーヒーだ。缶コーヒーの危険性に多くの男性が無自覚である。缶コーヒーは糖分のほか、クリームなどの脂肪分がたっぷり。これは砂糖の点滴と同じ。糖尿病への特急切符である。
 乳ガンにかかった女性の多くが朝食にパンを食べている。砂糖と油脂入りのパンに、マーガリンとジャムを塗りたくり、わずかな生野菜にマヨネーズやドレッシングで油脂まみれにして食べ、糖分たっぷりの甘いヨーグルトを食べている。いわば食事をとらずにお菓子を食べているのと同じ。これは大変です。みんなに知ってほしいですよね。
 ハンバーガーは食事ではない。ふむふむ、なるほど、そうなんですね。
 いやあ、考えさせられました。私はいま典型的なメタボになってしまいました。そこで、ダイエットを宣言し、実行しています。ともかく食べる量を減らすのです。ガマンガマン、これを合言葉に、いつもお腹が空いている状況に耐えています。さすがに年齢(とし)をとって、空腹には耐えられるようになりました。美味しいものを少しだけ、ということが実践できるようになったのです。うれしいやら悲しいやら、です。だって、来年には還暦を迎えようとするのですから、健康第一ですよね。
(2007年9月刊。700円+税)

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