弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年9月 7日

コウモリのふしぎ

著者:船越公威、出版社:技術評論社
 ワルガキのころ、夕闇のなかでコウモリが飛びはじめると、物干竿をふりまわしてコウモリをたたき落として遊んだ覚えがあります。そのころは、家の近くにそれほどたくさんのコウモリが飛んでいました。いま、山の麓に近いわが家には夕方になってもコウモリの姿を見かけることはまずありません。いったいコウモリはどこへ消えてなくなったのでしょうか・・・。
 この本には、たくさんの種類のコウモリの写真が紹介されています。コウモリの顔は見れば見るほど不細工で、グロテスクです。まさに魔界から地上へ派遣された使者という雰囲気です。そんなコウモリを真剣に研究する学者がいるなんて・・・。
 でも、実は、コウモリが空中を飛ぶ秘訣を究明すると、人類にとっても大いに役立つことなのです。
 コウモリは、哺乳類のなかで、唯ひとつ、飛翔に適応した。コウモリの種は1100種をこえる。哺乳類が5400種なので、その2割を占めている。ネズミ類の次に多い。
 飛べない鳥がいるが、コウモリはすべての種に翼があり、飛翔できる。コウモリは南極と北極を除く世界中に広い分布している。
 コウモリの70%は食虫性だが、植物を食べるもの、動物や魚を食べるものもいる。血液を食物とするチスイコウモリもいる。コウモリの顔は鼻と耳に特徴がある。
 コウモリはメスの方がオスよりわずかに大きい。コウモリは自分の体重の10〜40%という重たい赤ん坊を出産する。
 母親コウモリは、幼獣を母乳で育てる。コウモリは年に2回以上の出産が可能。
 コウモリの寿命は、体サイズから推測されるよりも3倍も長生きする。その寿命は5〜15年ほど。30年以上も生きたコウモリ、41歳のコウモリもいる。
 コウモリは、生物の老化の謎を解き明かすための鍵となる生物として注目されている。
 コウモリの発声は110デシベル以上であり、電車のガード下の騒音よりも大きい。
 コウモリは、一夫一婦、一妻多夫、一夫多妻、多夫多妻もある。
 コウモリは、なぜ逆さまにぶら下がるのか。ぶら下がっていたら、すぐに飛びたつことができる。捕食者にも気づかれにくい。そして威嚇の効果もある。コウモリの祖先は、樹上生活のなかで、まず逆さにぶら下がることによって、前肢を四足移動から開放し、翼の機能を獲得した可能性がある。なーるほど、そうでしたか・・・。
 ジャワに棲む世界最大のコウモリは、翼を広げると2メートル近い。コウモリは逆さまでも排泄することは可能。コウモリは糞尿の頻度が高い。
 コウモリのことが初心者にもかなり詳しく分かりました。
(2007年7月刊。1580円+税)

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