弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年5月11日

野生のカメラ

生き物

著者:吉野 信、出版社:光人社
 オビに動物写真家の世界冒険撮影記と書かれていますが、まさに納得のキャッチ・コピーです。すごい迫力の動物写真のオンパレードです。これで1900円とは、実に安い。
 クマが出没する地域でキャンプするときには、食料は車の中か、特別にもうけられた食料貯蔵庫に入れておかねばならない。そんな規則は分かっていたはずなのに、友との久しぶりの再会を祝って、夜遅くまで語りあってマグカップを机の上に置いたままテントに入りこんで寝てしまった。そこへ夜中、グリズリーが登場した。危機一髪。その友というのは、1996年にシベリアでヒグマに襲われて亡くなった星野道夫氏のこと。いやあ、いつも危険と隣りあわせだったんですね。
 トラの写真をとりに行ったとき、一番近づいたのはわずか3メートル。このとき、著者はゾウに乗っていました。オープンのサファリカーに乗ったときには5〜6メートル。いずれも襲われる心配はしなかったということです。トラがジープのすぐ横を通り過ぎながら、軽く口を開けて、「やあ」といわんばかりの顔で著者に挨拶していったこともあるそうです。えーっ、そうなんですかー・・・。でも、やっぱりトラって怖いですよね。
 この本には、ジープの屋根の上にチーターが乗っかっていて、著者がその脇に頭を出している写真までもあります。こうなると、何メートルどころではありません。何センチという近接した距離です。チーターがひょいと爪を立てたら一生の終わりです。
 ネコ科の動物は基本的に水を嫌う性質があるが、トラは例外で、暑い夏の日などには好んで水に入る。なるほど、それででしょう。インドでベンガルタイガーが水浴びしている瞬間をとらえた迫力満点の写真もあります。
 アフリカでもっとも恐ろしい動物は、なんとアフリカスイギュウだというのです。驚きました。ライオンやトラ、そしてワニではないんです。ホントなのかなあ、思わずつぶやいてしまいました。
 好きなことをやっていて本人はとても幸せだと思うのですが、臆病な私なんかにはとても真似できない話のオンパレードです。でも、このような冒険写真家がいてくれるおかげで、野生動物の生態が茶の間で居ながらにして楽しめるのですから、感謝、感謝。大いに感謝しています。

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